番外編：ペリドットとアンバー短編集3【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ16)

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疑惑１ページ16

時系列：2章終わった直後くらい

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　オドゥムの刺客による報復対策で、
りおはまだ工藤邸で過ごしていた。
今日は自分のアパートにいったん戻り
着替えを取りに来ていた。

　工藤邸へ向かう道で、見慣れた人影が
こちらに歩いてくるのが見えた。
「あれ？さくらさんじゃないか！」
「あ、世良さん。こんにちは。久しぶりね。」
夏休みに恋バナをして以来だ。

　「どうしたんだ？今日は土曜日。
昴さんの所じゃないのか？」
屈託のない笑顔を向け、さくらに問いかけた。
「ええ。この後行くの。」
「ふ～ん。その荷物の量…さてはお泊り？」
「ッ！ま、まあ…。ちょっと体調も悪くて
ここしばらく工藤邸にお世話になってるの。」
さすがに刺客を警戒して…とは言えなかった。

　「ええっ！そうなのか？
なのに一人で出歩いてて大丈夫なのか？
ボクが荷物持ってやるよ。」
世良はさくらの荷物をヒョイと持つと、
工藤邸へと歩き出した。
「え？大丈夫だ…よ…」
さくらの言葉はどうやら聞こえなかったようだ。
さくらはため息をついて、そのまま世良の
背中を追いかけた。

　二人で肩を並べ、他愛もないおしゃべりで
時々笑い合いながら住宅街を歩く。
工藤邸の門扉まであと少しというところで、
「夏の推理の件だけど」
突然世良がさくらに声をかけた。

　「やっぱり駅で会ったのは、さくらさん
だと思うんだ。瞳だけじゃなくて声も
似ているんだよね。」
その言葉にさくらはドキリとするが、
一切態度には出さない。
「そうなの？私は駅であなたと会った
記憶は無いけど…。」
あくまでしらを切り通す。
「じゃあさ、ボクのことは覚えていなく
ても、秀兄の事は知ってる？」
さくらの表情を伺いながら、しつこく
探りを入れてきた。

　「秀兄という人に会ったことも無いし…。
分からないわ。それより…」
話題を変えようとして世良の方へ顔を
向けた時、さくらは思わず目を見張る。
世良の顔は、先ほどまでの穏やかな表情とは
打って変わって真剣そのもので、
なんとしても兄の事を知りたいという
強い意志が垣間見えた。

「ッ」

思わず目をそらしてしまった。