内緒話で大波乱６ ページ14
「キャメル！」
赤井に催促され心を決める。
「赤井さんの…平日の食事の様子を
調べてほしいと。」
「なに？」
俺の食事の様子？
予想外の事に赤井は困惑した。
「さくらさんは心配していたのです。
自分がいない間、赤井さんがちゃんと
食事をしているか。タバコを吸い過ぎては
いないかと。だから私に工藤邸に行く
用事がある時は、様子を見て報告して
ほしいと。」
キャメルの話を聞いて、赤井はさくらの
顔を見る。
さくらはうつむいていた。
「たまたま今週、工藤邸へ毎日報告に
伺う事になり、しかも昼食をご一緒
出来たのでその様子をさくらさんに
お伝えしていました。」
キャメルは席を立ち、赤井をまっすぐに
見据えた。
「私も嬉しかったのです。
以前の赤井さんは…食事は生きるために
仕方なくするもの…。効率重視で取られて
いるように感じていました。
それが…今ではさくらさんが作った料理を
美味しそうに召し上がっていて…。
ですから私も、そのことをさくらさんに
報告するのがとても楽しみになりました。」
ニコリと笑ったキャメルの顔を見て、
赤井は思わず視線を逸らす。
「何を喜んで食べて、何が苦手そうで、
どれくらいの量を食べていたか。事細かに
さくらさんは知りたがりました。来週の
作り置きの参考にするからと。」
「ッ！」
そこまで考えていたのか…赤井は驚き、
言葉が出ない。
「ですが、それを赤井さんに知られて
しまえば、赤井さんはさくらさんに気を
使って、無理して食べたりするかも
しれない。だから内緒にしておいてと
言われました。」
全てを告白して、キャメルは頭を下げた。
「申し訳ありません。上司であるあなたに
隠し事をした。私は部下失格です。」
「ち、違うわ！
私がこんな事をお願いしたから…！
悪いのは私なの。」
さくらは赤井の両腕を掴んで謝罪した。
「だから怒るなら私を怒ってよ…。」
泣きそうな顔で赤井の顔を見上げた。
「お前達…なんでこんなことで俺が怒るんだ。
むしろ嬉しいよ。」
「「えっ？？」」
キャメルとさくらは驚きの声を上げた。
赤井はさくらの顔を見てニコリと笑う。
「ありがとう、さくら。
心配してくれたんだろう？
俺を心配してくれる恋人を、何で怒る
必要があるんだ？」
そっとさくらの頭を撫でた。
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作者名：aki | 作成日時：2020年1月22日 13時
