番外編：ペリドットとアンバー短編集3【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ12)

今日:12 hit、昨日:20 hit、合計:39,133 hit

内緒話で大波乱4 ページ12

　すでに恒例となった昼食を二人で食べ、
キャメルは工藤邸を出た。
「この後、昨日の女性に会うつもりだな。
一体何者だ？ハニトラに引っかかって
いるとは考えたくはないが…万が一の
事もある。正体を暴いた方が良さそうだ。」
昴はキャメルが通りに出たことを確認すると
そっと後を付けた。

　今日は米花町の図書館に向かっているようだ。
キャメルに気付かれぬよう、一定の距離を保ち
尾行する。鼻歌を歌いながら歩く彼の姿は、
浮かれているように見えた。
『やれやれ…すっかり骨抜きにされているのか…』
昴は小さくため息をついた。

　図書館の前にある公園に着くとキャメルは
園内のベンチに腰を下ろした。
昴は図書館の陰に隠れ、様子を伺う。
やがて昨日と同じ女性が現れた。
だがその女性を見て昴は驚く。
『な、なに？！あれは…りおじゃないか！』
二人は並んでベンチに座ると、
楽しそうに会話を始めた。
りおは穏やかな表情で時折相槌を打ちながら
話を聞いている。
キャメルは僅かに頬を赤くして
照れ笑いをしながら何かを伝えているようだった。

　『まさか！キャメルが惚れた女って…りおなのか？！』
同僚が自分の恋人に恋？！な状況に
昴は動揺を隠せない。
しかもそれを利用して、公安のさくらが
ＦＢＩの情報を聞き出しているのか？
とりあえず、今ここで出て言ったら自分は
何を口走るか分からない。
冷静になるために、一旦離れることにした。

　夕方
キャメルは赤井から『一通り仕事が済んだら
夕方工藤邸に来て欲しい』というメールを
受け取る。
1日の仕事を済ませた後、工藤邸の前にやってきた。
「こんな時間に珍しいな…。急用だろうか。」
キャメルは小首を傾げながら、チャイムを鳴らした。

　家に上がりコーヒーを入れてもらう。
キャメルと昴は向かい合わせでソファーに
腰を下ろした。

　コーヒーを一口飲むと、昴はキャメルの顔を
じっと見つめた。
ただならぬ雰囲気を感じて、キャメルは僅かに緊張する。
「キャメル。お前…最近誰と会っているんだ？」
単刀直入な質問にギクリとする。
「えっ？誰とって…。赤井さんと会っている
じゃないですか。」
何とかごまかそうとした。
「なるほど。あくまでもしらを切る気か。」
「？！」
　昴の言葉に背筋が凍った。
どうやら秘密を知られてしまったようだ。
昴の冷たい視線を目の当たりにして、心臓が跳ねる。
『こ、これ以上嘘は付けない…』
観念したキャメルはうなだれた。