ペリドットとアンバーvol.14【名探偵コナン】【赤井秀一】【沖矢昴】【安室透】

毛利探偵への依頼１ ページ11

　りおが工藤邸に戻ったその日の夕方———

　毛利探偵事務所では、小五郎は身なりを整えて依頼人を待っていた。

　「ちょっとお父さん！ どうしたのよ…そんなにバッチリおしゃれして…。
あ、もしかして今回の依頼人って美人さんなんじゃ…」
いつもはだらしない小五郎がビシッとスーツを着こなし、ヒゲや髪をセットしてご丁寧に応接ソファーでポーズを決めている。

　「ば、バカ！ そ、そんなわけあるか！ 仕事なんだからこれくらい当然だろう。
ヘンな言いがかりをつけてくるんじゃない！」
図星な時ほど怒り口調になるのは小五郎の癖だ。本人は全くそれに気付いていないが。
(これで『名探偵』って名乗ってて良いのかしら…)
蘭はいつものことながら心配になる。
ハイハイ、と適当に返事をしながらお茶の準備を始めた。

　(どー見たって、美人の依頼人が来るようにしか見えねぇよ……)
ゲームをしながら二人のやり取りを見ていたコナンは小さくため息をつく。
厄介な依頼じゃなきゃ良いけど…。

　時計を見上げれば間もなく17時50分。
ゲームの続きをする気になれず、そのまま電源を落とした。



　約束の時間は18時。
時間ピッタリに依頼人が探偵事務所へとやってきた。
依頼人の名は《平永 実代／ひらなが みよ》28歳。
都内の商社に勤めているという。
OLらしく清潔感のあるスーツを着て、髪は黒色。
化粧も派手過ぎず、目鼻すじの通った美人だ。
実代が応接ソファーに座ると、小五郎は一瞬目をハートにして美人の来訪に大喜びした。が、すぐにワイルド感を匂わせ女性に近づく。

　「平永実代さんでしたか。で、今日はどのようなご依頼でしょうか」
さりげなく女性の隣に座り、いつもより低い声で問いかけた。

　「え、ええ。実は…ある女性を調べて頂きたいんです」
小五郎の距離感に一瞬ギョッとしながらも、実代はそう切り出した。

　「ある女性を？ それはまたなぜです？」
身辺調査と聞いて小五郎は目を丸くすると、探偵らしく依頼内容について詳しく説明するよう促した。

　「実は…私にはお付き合いしている男性がおりまして。その人とは結婚の約束もしているのですが、最近様子がおかしくて……。
お恥ずかしい話なのですが、どうやら私の他に女性がいるようで…」
「なんですとっ！」
実代の話を聞いた小五郎が叫んだ。

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