強くなる為に ページ10
そして考えた結果、まず体力や筋力を付けようと思い、毎日こうして近くの山に足を運んでは今に至る。
やる事は大体山の中を走ったり木を登ったりするのみだが、意外とこれが難しくて。
『た、ただいま....』
今こそ滅多に無いものの、初めは足を踏み外して怪我まみれになる事もよくあった。
『もう、またこんなに怪我して!』
そう母さんはこっぴどく俺を叱っていたけど、それでもやめようとしない弟にハルは何かを察したらしい。
『A、俺も一緒に行く』
止めない事、また日が落ちる前に帰る事を条件に、途中からハルが同行するようになった。
おかげで一人じゃ出来なかった特訓もハルによって可能となり、俺としてはかなり助かっている。
とはいえ、飛んでくる石を目を瞑って避けたり、また木に隠れたハルを勘のみの一発で探し当てたりと、やってる事は無茶苦茶だが。
「うわっ!」
今も案の定飛んできた石が命中し、俺はバランスを崩して後ろに倒れる。
「いったた....」
「A、大丈夫?」
「ん、平気平気」
成功率的には全然平気じゃないけど。
駆け寄ってきたハルに手を貸してもらい、俺は立ち上がると服についた砂を手で払う。
「いやー、やっぱ難しいなこれ」
そして軽く笑い飛ばせば、「でしょうね」と言わんばかりの顔をハルに向けられた。
「当たり前だよ、勘だけで避けるなんて。俺が怪我しない程度に投げてるからまだしも」
「全力だったら大怪我だな」
食い気味にありがとうと礼を言うと、兄は小言を言う気にすらならなくなったらしい。
「......分かってるならちゃんと避けてよ」
心配かけるなとばかりに大きなため息を吐くと、そのまま定位置へ戻っていく。
言ったって無駄だと思ってるんだろう。
実際その通りだし。
「理解のある兄を持って俺は幸せだなぁ」
敢えて大きな声でそう言えば、その手には乗らないからと怒られた。
加えて本当にこれが役に立つのかを聞かれ、俺は多分と答えながら首を縦に振る。
いつか鬼に対抗するとして、まず俺が確実に生かせるのはこの「勘」の良さだ。
目を閉じたまま石を避けるだなんて本来なら無理だが、この世界に普通なんてのは存在しない。
現に炭治郎達はやってたし。
努力が裏切らない世界なら、試す価値は十分にあると思う。
「まぁいいけどさ、最後まで付き合うし」
「ハル......ありがとな」
それにハルが手伝ってくれれば百人力だ。
なんとしても物にしてやる。
「てことでもう一回よろしく!」
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みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時