兄としての面影 ページ17
今にも頭突きをかまそうとする炭治郎に対し、バレない程度の言い訳をする事数秒。
「もう本当にすいません!つい慌てちゃって!」
慣れない地なので驚いたという旨を伝えると、ようやく炭治郎も納得してくれたらしい。
「いえ、俺も悪かったです」
申し訳なさそうに戦闘態勢を解いてから、優しい笑顔で例の子に話しかける。
超いい人じゃん知ってたけど。
変な対応してごめんな....。
今後は誰に対しても取り乱さないよう頑張るからさ。じゃないと後半絶対面倒になるし。
(というか、)
偶然来た初めての町が炭治郎のいる炭売りの町ってどういう事?
しかも見た目的に歳だってそんな変わんないだろうし。
もうこれどう足掻いても同世代フラグじゃないですかやめてくださいよ神様仏様。
鍋だけに留まらずこんな謎補正までかけてくれちゃって。いや炭治郎に会えたのは嬉しいですけども。
(あれ、そういやなんで話しかけてきたんだろ)
いくら優しい最推しの炭治郎とは言え、そうポンポン人に話しかけるもんか?
なんなら炭治郎が来た時にはもう泣き止んでたのに。
ふと疑問に思い、俺は女の子の頭を撫でる炭治郎をちらりと見やる。
(....もしかして)
さっきは反射的についビビったけど、俺が困ってたのを見て助けようとしてくれたのか?多分そういう困った時の匂い?もさせてただろうし。
何それいい人すぎてやべぇ....!
が、しかし。
「あの、さっきの話ですが、貴方の力は借りなくて大丈夫です」
「え....」
敢えてはっきりと言い切る。
炭治郎は炭売りの仕事でここに来てるんだ。
仮に同行を願う流れだとしても、これ以上俺のワガママに付き合わせる訳にいかない。
「俺だけで何とかやってみるんで」
「けど......」
それでも渋る炭治郎の姿に、俺は優しいなぁなんて他人事のような感想を抱く。
今だってすぐにでも仕事に専念して、家族にいい物を食べさせてやらなきゃならないだろうに。
頷くどころか、初めて会った俺達の事まで気にかけていて。
そんな自分よりも他人を優先しようとする彼を見ていると、どこか昔の「妹」を思い出す。
だからだろうか。
「!!」
「大丈夫だって」
気がつくと、俺の手は無意識に炭治郎の頭へと伸びていて。
「ありがとな」
お礼を伝えると同時に、その柔らかい髪をくしゃりと撫でる。
その後少ししてから手を離すと、我に返ったのもつかの間────。
「〜っ!!」
目の前に立つ炭治郎の顔が、突如真っ赤に染まりあがった。
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みかん - もう公開はしないのでしょうか…凄く見たい…また公開にするような機会があることを願ってます!非公開にした理由が深いのなら作者様はこのコメント無視して頑張ってください!! (2022年1月9日 12時) (レス) id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 素晴らしいの一言に尽きます...素敵な作品で楽しく読ませていただきました。最新頑張ってください。陰ながら応援してます...(´∀`) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 000b312b5b (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - まだ(# ゚Д゚) (2020年3月10日 17時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月29日 20時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
佐藤悠真(プロフ) - 微笑ましいに尽きますね。いつもホワホワしながら読まさせていただいております。更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年2月18日 0時) (レス) id: 44efc3fddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syu | 作成日時:2020年1月16日 21時