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.side▶oikawa
春高の県大会が終わってから、ずっと考えていた。Aちゃんのこと。
自分は卒業したらすぐ海外に行くつもりだし、もう言うなら今しかないんじゃないかって。
悲しいことにあんまり脈がなさそうなので、この際伝えないでおこうかとも思った。
けど、それじゃあやっぱり後悔するなって、心のどこかでわかってる。
この先どうなろうとも、仮にこっぴどく振られようとも、これは自分の為だ。
次に進むために、Aちゃんのことに蹴りを付けたい。
そう思って一大決心をした俺は、次の休みにAちゃんをデートに誘った。
彼女と二人で会うのは花火大会以来になる。
もしかしたらこれが最後になるかもしれない、けどそんなことはもういいや。
ぐたぐた悩んで時を無駄にする、なんて馬鹿な真似はもうしたくない。
「岩ちゃんんんんん」
「どーした、なんか顔赤いぞ」
「俺、男見せてくる!」
「はぁ?何の話だ」
「岩ちゃん、応援してね!で、もし必要そうだったらちゃんと慰めて!!!」
「だから何の話だよ及川テメェ」
「いっった!?ちょっとここで蹴る!?お尻がよっつに割れちゃうじゃん!」
「安心しろ。お前のケツなんて誰も興味ねぇから」
「そ、それはどうかわかんないじゃん」
こんな時に岩ちゃんの蹴りは寧ろ安心するよね。
今の俺、かなり変態じみてるけど実際安心するんだから仕方ない。
ああ、やっぱり自分の周りは最高の仲間だらけ。
大丈夫。もう、何も怖くない。
俺はちゃんとAちゃんに伝えなきゃいけない。
伝えた結果が何であれ、言わなかったら絶対後悔するから。
とめどなく溢れ出した想いはもう、心の中だけに留めておくなんてできっこなかった。
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蜜柑(プロフ) - 卵おにぎりさん» ありがとうございます!最近更新できてなかったので頑張ります…! (2021年8月3日 14時) (レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
卵おにぎり - とても好き! (2021年8月3日 11時) (レス) id: 9fc3fd6c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2021年5月30日 19時