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.side▶oikawa
一度自分の気持ちを自覚してしまうと、どんどんその気持ちは大きくなってしまうもので。
朝起きても、昼間学校でAちゃんの隣の席で授業を受けているときも、部活中も、夜寝る時も、四六時中あの子のことが気になって仕方ない。
俺の中でAちゃんの存在は膨れ上がり、この恋心を無視することができないレベルにまで肥大化していく。
「Aちゃん………」
放課後、誰もいない空間に向かって彼女の名前を呟く痛い自分。
若干おセンチな気分になっていた。
『なに？』
「えっ！？」
驚いて振り向くと、まさかの本人がそこにいて。
一気に手汗が吹き出した。
『何してんの？部活は？』
「あ、ああ。今日は休み」
『ふーん、そう。じゃ、一緒に帰る？』
「………え」
一瞬、固まってしまった。あのAちゃんが一緒に帰ることを提案してくれるなんて！
神さま、これは何かのご褒美でしょうか？
俺、なにかいいことしたっけ。
『嫌なら別にいい。じゃ、あたし帰る』
「い、嫌なわけないじゃん！ぜひ！俺も一緒に帰ります！」
✿
二人で歩く帰り道。
この前も思ったけど、Aちゃんの歩くスピードは意外にも早い。
「Aちゃん、あの、」
『マネージャーならやらないからね』
「な、なんで俺が言いたいことわかるの！」
『最近の及川そればっかだし？』
「う………ごめん」
『てかなんで私なのさ？』
「それは、」
『マネージャーならやりたい子いっぱいいるっしょ？なんで自分？』
______それは、Aちゃんが好きだからだよ。
そんなふうに言えたなら。
けど岩泉の言った通り、そんな理由で大変なマネ業に誘うなんて間違ってるよな……。
「Aちゃん、しっかりしてるし。マネージャ向いてるなぁって思った」
______違う、いつも俺のそばにいて欲しいから。
本心はただの自己満足に過ぎない。
好きな子にマネージャーとして近くにいてもらいたい、なんて自分勝手な我儘だと思う。
『私そんなにしっかりしてないよ』
「してるよ、俺が保証する」
『めげないね……』
「Aちゃんにだけだよ」
『また調子いいこと言って』
信じて貰えないかもしれないけど、本気で君が好きなんだ。
君しか見えてない、なんて言ったら引く？
相変わらず彼女は俺にとって手の届かない存在。
近くにいるのに、隣を歩くこの子が酷く遠くに感じた。
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蜜柑(プロフ) - 卵おにぎりさん» ありがとうございます！最近更新できてなかったので頑張ります…！ (2021年8月3日 14時) (
レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
卵おにぎり - とても好き! (2021年8月3日 11時) (レス) id: 9fc3fd6c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2021年5月30日 19時
