15 ページ15
.
季節はあっという間に過ぎていき、もうすぐ夏休みだ。
東北の夏はそこまで暑くならないはずなのに、近年では沖縄の方が涼しいんじゃないかってくらい猛暑日が続いてる。
教室の冷房は28度設定という如何にも環境に優しすぎる配慮。
この時代に28度とか頭いかれてんな？巷の寒い寒いゆーてる女子か？あ？
寒がっても可愛くないんじゃボゲェ！
そんな寒がってんなら毛布でも被ってろや。
よし、あとでこっそり19度に変えよ。
これは私とクラスメイトの闘いだ。自分こそが、この教室のクーラー奉行になってみせる。
密かに決意を固めていたとき。
「ね、ねぇAちゃん」
『……………』
「ガン無視しないで流石に傷つくよ？」
『…………なに』
汗ひとつかいていない、捏造爽やかスマイルを振りまく及川に肩を揺さぶられた。
「やっぱり聞こえてた」
『……………早くしろ』
「ちょ、なんでそんなイラついてんの」
『クーラー奉行なんだよ』
「は？なんだって？
………て、そうじゃなくて。今度のお祭りの日、俺部活ないんだよね………」
なんだ、お祭りか……。確かにそんな季節だな。
暑すぎて先のことなんか頭になかったよ。
『……で？それがどうしたのさ』
「え、だからさ……。その、い、いっしょにいきませんか………」
なんで敬語？しかももじもじしてるし。
意味わかんないけど、及川の口から出た誘い文句に、先程まで冷房のことで頭がいっぱいだった私は急に正気に戻った気がした。
『……………及川とそんな人いっぱいいるとこ行ったら目立つからイヤ』
「え、じゃあ目立たなかったらいいの？」
『……………ん？』
「よし、俺にいい考えがある。目立たないって約束できるから一緒に行こうね」
『ええ、ちょっと、』
イマイチ及川が言ってる意味がよくわからない。
目立たないならいいなんて、どんな解釈だよ。
けれど上手い口車に乗せられた私は、そんなこんなで半ば強制的に？この男と夏祭りに行く予定ができてしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蜜柑(プロフ) - 卵おにぎりさん» ありがとうございます！最近更新できてなかったので頑張ります…！ (2021年8月3日 14時) (
レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
卵おにぎり - とても好き! (2021年8月3日 11時) (レス) id: 9fc3fd6c87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蜜柑 | 作成日時：2021年5月30日 19時
