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ついて行った先はこの国の一等地付近で、一人暮らしには十分な大きな家で案内されたリビングだと思う部屋には一面の壁に本棚があって、もう一面には色とりどりの蝶の標本が飾ってあった。
エミさんってこんな所に住んでたんだ。それにしても向こうからしたら初対面なんだから他人行儀になるのは承知の上だったのに…なんでこうも悲しいんだろ…
窓の外の景色をぼんやりと眺める。星空と城だけを見てみると特に変わった様には見えないけれどここは誰も僕の事を知らない、そう考えると何も無い世界に放り出された様に感じて下唇を噛む。
すると目の前に手が伸びてきてコーヒーの良い匂いが漂ってきたのでなるべく初対面を装ってお礼を言う。
『ありがとう…ございます。初めて会った僕にここまで親切にしてくれて』
em「いえいえ、困っていたらお互い様ですよ。それに見た所危険そうでは無い様でしたので」
すみません…その危険そうでは無い人の所持品はナイフとハンドガンなんですけど…
em「そう言えば貴方の名前はなんと言いますか？後、どうして私の名前を知っていたんです？」
いきなり虚を突かれた質問にコーヒーを溢しそうになったけれどどうにか堪えてオスマンみたいにポーカーフェイスを作る。
どうしよう、なんて言えば良いの？未来からやってきたなんて口が裂けても言えないし。そもそも自分の名前も素直に言ったらダメって本にあった様な…
『僕の名前は…リアンと言います。偶々友人がエーミールさんの事を知ってまして彼から話を聞きました。実は訳あって一文無しで』
em「そうですか…では家に泊まって下さい。私もこの広い家を使い切れて居ませんので。それに日中は教職があって家に居ないですしリアンさんとは気が合いそうですから。なんなら敬語を使わなくても結構ですよ」
五年後と変わりないあの優しい笑みを向けられて少しだけど希望が出来て嬉しくなって涙が出てくる。
突然泣き出した僕にエミさんが大丈夫ですか？と背中を摩ってくれたけど涙が止まらなくてどうにか誤魔化す。
『大丈夫、だよ。こんなに親切にして貰えたのが嬉しくて…改めて
em「ええ、初めましてこれからよろしくお願いしますリアンさん」
涙も落ち着いたので、もうぬるくなってしまったコーヒーを一口飲む。
でもその時のコーヒーは美味しくなくて、苦いと言うよりも塩っぱくて涙みたいな味だった。
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月歩 - ラーシュさん» ありがとうございます!あのシーンは特にお気に入りでしたのでそう言って貰えると作者冥利につきます! (2020年3月31日 11時) (
レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
ラーシュ - 完結おめでとうございます！夢主君がemさんやrbrに止められているのに振りきって仲間を助けにいって重症を負うところで凄いハラハラさせられてしまいました！凄く面白い作品でした！！ (2020年3月31日 11時) (レス) id: 3d2f41f960 (このIDを非表示/違反報告)
月歩 - 白狐さんさん» ありがとうございます!個人的にはもう少し書き込みたかったのですが、楽しんで貰えて嬉しいです! (2020年3月31日 8時) (レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
白狐さん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう、最っ高でした。5年前にトリップするっていう発想も勿論ですが、内容がギッシリ詰まってて読み応えのある楽しい作品でした！！ (2020年3月31日 8時) (レス) id: c1b876fff4 (このIDを非表示/違反報告)
月歩 - ふゆさん» ありがとうございます!主人公のキャラはかなり手探り状態でしたけどそう言って貰えて嬉しいです! (2020年3月24日 14時) (レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月歩 | 作成日時：2020年3月12日 0時
