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4話 ページ4

「…あーあ、目、腫れてる…」




ボサボサになった髪の毛にヘアブラシで格闘しながら、私はつぶやく。
鏡に映る私の顔は、それはひどいもんだ。
目が、昨日泣いたせいでぷっくりと腫れているのだ。
やらかした。これじゃ、会社に行けないじゃないか。




顔の処理は後でするとして、私は洗顔と保湿だけしてリビングに向かう。
誰もいない、シーンとしたリビングのテーブルの上に、普段と同じようにおかずと空の茶碗がある。黙ってお味噌汁とご飯をよそい、いただきますと言って食べ始めた。




教師の朝は早い。
7時には学校に着き、校門で生徒に朝の挨拶をしたり、休みの連絡を受けたり、会議をしたり。
とにかく大変な職業だ。
その分、少しでも彼を支えてあげられたらと思っていた。
でも、朝食は最近、朝出るのが早い銀時に任せっぱなしだし。
朝、洗濯機を回すのはいつも銀時になっているし。




よく考えたら、ここ一年は銀時が部活の顧問なだけあって土日出勤しているし、たまに休みが取れたかと思えば、今度は私が土日出勤するしとろくに二人の時間が取れていないことに気づいた。
最後に二人でどこか遊びに行ったの、いつだっけ…
ああ、私達、いつのまにか距離ができてしまっていたのかも。




同棲しているからなんて油断した考えで、本当は銀時が私のことをどう思っているかなんて、私は全然わかってない。結局、私達は心の距離ができていたんだ。
だから、銀時もそれに冷めてキャバクラなんか行ったんだ。
キャバ嬢のお妙さんなんかに、惹かれてしまっていたんだ。




そう考えると、私の頬にはいつの間にか一筋の涙がこぼれていた。
腕でゴシゴシと、それを拭う。





「…バカみたい」




独り言をつぶやくと、やけに自分が浮気に恐れていることを実感した。
目を治すために蒸したタオルを目に当てると、私はまたもや涙を流す。
涙は、タオルに吸引されて、すべて飲み込まれて行った。

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なまたまご(プロフ) - ワンパンマン大好きさん» とっても嬉しいコメントありがとうございます!この小説を楽しんでもらえて嬉しいです! (2019年7月19日 13時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)
ワンパンマン大好き - 面白かった!別れようの時なかなか画面をスクロール出来なかった…(なんかドキドキしちゃう) (2019年7月19日 0時) (レス) id: bda1ec34af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なまたまご | 作成日時:2019年6月16日 15時

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