13話 ページ14
帰りの道中、私は一言も喋らなかった。
沖田くんも心中を察してくれたのか、何も言ってこなかった。駅で別れた後、私はおぼつかない足取りで電車に乗り、席に腰掛けた。
今まで、私は銀時の一番だと思っていた。
別に、大袈裟なことではないと思う。
男性は、少なからず彼女を一番に思ってくれてるものだと信じていた。
それゆえの油断に、私は付け込まれたのか。銀時に。結局、最後は裏切るような男だったのか。
『好きだ。俺と…付き合ってくれ』
『お前といると、すげー楽しいよ』
『お前は優しいな。…やっぱ好きだわ』
これまでの言葉、全部無かったことにしようとしてるのか。こんな酷いことされても、私はなぜかまだあなたのことが好きなのに。こんなにも、大好きなのに。信じていたのに。
夜の東京の街を、電車は駆け抜けていく。
私は窓の外をずっと見つめていた。
そのうち、目には涙がたまり零れていった。
まるで、今までの思い出が私の脳内を駆け巡るように。
ゴシゴシとそれを拭っても、止まらなかった。
涙で零すには、それらはあまりにも多すぎた。
別れようか。
不意に、そんな考えが浮かんだ。
辛いなら、こんな関係辞めちゃえばいいんだ。
好きって思うより前に、私の周りの人に迷惑がかかるなら、その選択の方がいい。
夜景をみながら、ふとそんなことを思った。
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なまたまご(プロフ) - ワンパンマン大好きさん» とっても嬉しいコメントありがとうございます!この小説を楽しんでもらえて嬉しいです! (2019年7月19日 13時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)
ワンパンマン大好き - 面白かった!別れようの時なかなか画面をスクロール出来なかった…(なんかドキドキしちゃう) (2019年7月19日 0時) (レス) id: bda1ec34af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なまたまご | 作成日時:2019年6月16日 15時