其の参 ページ44
中原は外套を投げ捨て地面を蹴り太宰に打拳をくらわそうとするが太宰はそれを躱して中原の腕を掴み、鳩尾めがけて殴る。
確かに手応えはあった。だが中原は口角を上げ嗤う。
「何だその打拳。」
太宰は気付いた時には中原の蹴りで壁へ打ち付けられていた。
「按摩にもなりゃしねぇ。
手前の格闘術はマフィアでも中堅以下だ。異能無効化は厄介だがこの状況なら異能を使うまでもねぇ。
立てよ、招宴は始まったばかりだぜ。」
「……流石はマフィアきっての体術使い。
防御した腕がもげるかと思ったよ。」
中原の動きを太宰は完璧に把握し攻撃を読まれている。
中原の顔に青筋が浮き出る。その瞬間、一瞬で中原は太宰との距離を数糎にまでに詰める。
「だったらこの攻撃も読まれてるんだろう、なあ!」
太宰は頬を殴られ、その勢いで体がぐらつく。気付くとまた距離を詰められている。
「打拳ってのはなあ!こうやって打つんだよ!」
鳩尾に拳が入り、太宰は中原に首を掴まれ壁に体を打ち付けられる。中原は太宰の首を掴んだ手に力を入れる。
「動きが読める程度で勝てる相手と思ったか?
最後に教えろ。」
中原は短刀を取り出し太宰の首に突きつける。
「態と捕まったのは何故だ。獄舎で何を待っていた。」
太宰は眉を寄せるだけで何も答えない。
「だんまりか。いいさ、拷問の娯しみが増えるだけだ。」
「……これは捕まった理由じゃないけど一応中也の為に報告。」
「あ?」
中也は顔を顰めて太宰の次の言葉を待つ。だが太宰が態々中原の為になんて行動は決してしない。中原は厭な予感が凄くした。
「中也の自宅にはAちゃんの含めて寝所は幾つある?」
「は?」
何を云い出すかと思えば何て事を云い出すんだ手前は。中原は心底呆れた。太宰はただ何時もの気持ち悪い程清々しい笑みを浮かべるだけ。
中原は少し黙考して口を開く。
「……Aの合わせて二つだが。それを聞いて何になる。」
「矢張り二つか。」
「おい聞けよ。」
「いやぁ、中也には同情するよ。勝手に部下に自分の寝所で寝られるなんて。」
「部下?…何の、話……部下!?」
その部下に心当たりがあるのか顔を青ざめる中原。太宰は二ヤァと笑う。
「実はねぇ君が留守中に充君は君の自宅に居座ってたらしくてね。Aちゃんに聞いてない?」
「A、橋部ェ!!」
「痛い首絞まってる!死んじゃう!!」
「死ね!!」
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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時