其の拾弐 ページ31
芥川は口元を手で抑えながら中島に告げた。
「___そして僕、約束は守る。」
その瞬間、芥川の黒獣が中島の右脚を喰いちぎった。中島はあまりの痛さに絶叫する。Aはこの現状に反応も無くただ傍観していた。
「狗間は人虎を侮り過ぎだ、と呟いたな。だがお前が期待した人虎は今や何も抵抗出来まい。」
芥川は嘲笑うようにAを見る。それにAは漸とピクリと反応した。反応したかと思えば笑みを浮かべた。心理が読めないこの笑顔に見覚えがあったのか芥川は顔を歪める。
『あはは、この笑顔だんだん先輩に似てきたなって芥川君と同じように顔歪めて云う人が居るんだけどそんなに似てるかな?似たくもないんだけど。
それより、芥川君のその余裕どこからくるのかなぁ。相手が確実に息絶えるまで油断はするなって先輩に云われなかった?』
Aの目を細めて含みのある笑顔に芥川は不審に思い後ろを振り向く。そこには壁に張り付くように居る中島の姿が。その手は壁を貫通し顔は虎のような顔立ちに変化している。
バキバキと骨が変形していく音と共に中島の人間の体が虎へと変化していく。芥川は目を見開いた後、先刻の中島に見せていた無表情とは一変、玩 具を見つけた子供のように少し笑顔を見せた。
その虎は目の前の芥川に襲いかかった。もう自我は存在してなさそうだ。芥川の外套がまた揺らめき黒獣へ変化する。黒獣が虎の体を喰らおうとしたその瞬間、虎は何か【羅生門】とは違う黒いモノに攻撃され壁へ叩きつけられる。
『___あれ?もうちょっと叩きつけられるかなと思ってたんだけど。虎は重くて面倒だなぁ。
私無断でのこの戦い方はキツイし早く橋部君来ないかな。』
突如のAの乱入に芥川は顔を顰めた。Aは準備体操に屈伸をしている。身を包む白いマントの中からは黒く細い鞭か黒布のようモノがゆらゆら揺れている。【羅生門】によく似ているが違うモノらしい。どういう構造になっているのかは白いマントがAの身を包んでいる為中が見えず解らない。
「何をしている狗間。」
『何って……仕事?芥川君の遊撃隊に人虎依頼が来てて私がオマケで一緒に捕獲〜♪みたいになってるけど私と橋部君宛の人虎捕獲任務も来ててさ。手柄を芥川君だけに持ってかれると困るんだよね。
あ、この黒いのは芥川君の闇を頂戴してるから。』
軽い口調で喋るAに向けて盛大な舌打ちをし芥川は「これだから嫌いだ」と呟く。
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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時