【文スト】*主 従 関 係*〜第二幕〜【中原中也】

【人生万事塞翁が虎】 其の壱 ページ4

Aside


『…………いや、君大丈夫？』




一発目でこんな声出してすみません。どうもAです。急ですが目の前の川ら辺でぶっ倒れている少年を見つけました。



幾ら私がポートマフィアでも何処かの凶暴牧羊犬もどきのチビ帽子と違って慈悲があるのでしゃがんで話しかける。……呻き声を上げただけだった。





「お……」


『お？』


「お腹空いた……」


『…お腹空いた……ッあははっ！！』




漸と喋ったと思い耳を澄ますが彼の一言で思わず笑ってしまう。ぶっ倒れている人に声かけたら「お腹空いた」と告げられる。あぁ、餓死寸前でぶっ倒れてたのね。



私があの二人に最初に告げた言葉とそっくりそのまんまで笑ってしまう。




『んー、そんなにお腹空いてるなら私が奢ってあげようか？』


「え、良いんですか！？」


『中也さんの金だけど。』


「え？」


『いや、何でもないよ。』




私が奢ってあげようかと云うと彼は急に立ち上がる。服もぼろぼろだし何か散々だな此の人。




「いや、僕みたいな財布を奪って生き延びようとする奴に奢っちゃ駄目です！」


『いや、今私が持ってるお金盗んだのようなモンだから大丈夫。』


「真顔で云ってますけど普通は駄目ですからね！？僕、名前も知らない女の人とどんな会話してるんだ……？_____え？」


『君、真面目だねぇ私の職業柄盗むのは甘いモンだけどなぁ_____ん？』




感心していると彼は川の方へ視線を向け素っ頓狂な声を上げる。私もそれにつられて川へ視線を向ける。



男らしき人物が逆さまで川を流れてる。何、川散歩？最新型の泳ぎ方？？あ、自 殺？入水か。



川で流れている男は烏に足を突かれて大変な目に合っていた。




『いや、てかこれ多分……いや結構な確率であの人……』




私が顔を引き攣らせているのも知らず餓死寸前の彼は困惑し助けに行こうと川へ飛び込もうとしている。その手を私は掴む。




「な、何ですか。」


『いや、助けるのやめた方が良いよって忠告しようかと。』


「でもあの人放っておいたら死んじゃうんじゃ……」


『初対面の人に云うのはあれだけど君、本当真面目に付け足して優しいね。助けるのはやめといた方が良いよ。君の優しさは身を滅ぼす。あの人の安全は置いといて君の身が危ないよ。』


「で、でも矢張り放っておけません！！」


『行っちゃった……』




私の忠告を無視し川へ飛び込む彼のおかげで此方にもとばっちりを食らう事を私は未だ知らない。

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