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其の玖 ページ28

先程の弾を全部、ナオミの背中が受け止めていた。谷崎を守るような形で両手を広げ必死に立っていた。

発砲が終わった途端にナオミは力尽きそのまま倒れる。谷崎は目を見開き、ナオミの姿に酷く動揺する。狂ったようにナオミ、ナオミと叫ぶ谷崎に対してこの絶望的状況に中島は声も出せず座り込む。

ナオミを探偵社の医務室へ運ぼうとする谷崎の頭部に樋口は銃を突きつける。



「そこまでです。貴方が戦闘要員ではないことは調査済みです。健気な妹君の後を追っていただきましょうか。」


「あ?」



数刻前の谷崎とは別人かと思いるような低い声が樋口の耳に届いた。

ユラッと谷崎の周りに緑の文字の羅列が浮かび上がる。谷崎はナオミを抱え、立ち上がる。



「チンピラ如きが___ナオミを傷つけたね?

_____『細雪』」



谷崎が告げると周りに雪が降り始める。

異能を発動した谷崎に樋口は慌てて銃をまた乱射する。だが谷崎を撃ち抜いた筈なのに手応えがなく雪が溶けたようにその姿が消えていく。

谷崎の異能力、【細雪】は背景を上書きし虚像を映す。谷崎の姿は樋口には見えない。

谷崎の手が樋口の首を絞める。



「死んで終え___!」



そこに谷崎の背後に忍び寄る″死神″の影が一つ。

谷崎は倒れてしまう。死神の能力によって。

ただ呆然と眺めていた中島の目と死神の目が交える。



「死を畏れよ 殺しを畏れよ

死を望む者 等しく死に

望まるが故に___ゴホッ」



___こいつには遭うな。遭ったら逃げろ

___俺でも_奴と戦うのは御免だ



中島の脳内に国木田の言葉が再生される。




_______お初にお目にかかる僕は芥川




死神の声がする。死の音がした。



Aは実に愉快そうに口の端を吊り上げた。

其の拾→←其の捌



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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時

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