其の捌 ページ27
「アハハ、それは脅されましたねェ。」
「笑い事じゃなですよう。
兇悪なマフィアとか直に死ぬぞとか……途んでもない処に入っちゃった。」
国木田からの忠告を受けて中島は先刻から溜息をついてばかりだった。それを谷崎が宥める形で樋口に案内されながら目的地に向かっていた。
そしてAは中島の様子を見てクスクスと笑っていた。
『案外、心配してるより大丈夫だと思うよ?敦君は強いしさ。』
「僕なんて何も取りえないし、肝心な異能も制御出来ないで役立たずですよ……」
「まァまァ、ボクでも続けられてる位だから大丈夫ですッて。」
苦笑いを浮かべて云う谷崎。中島は探偵社に居るのだから谷崎も「能力者」だと思い、どんな力か尋ねる。
だが谷崎は弱々しく笑いながら戦闘向きではないと告げた。
「___着きました。」
樋口は四人の遣り取りを遮り、路地裏を指す。その路地裏は薄暗く、一直線の道しかなかった。
その事に谷崎は眉を寄せる。
「樋口さん、無法者と云うのは臆病な連中で___大抵、取引場所に逃げ道を用意しておくモノです。
でも此処はホラ、捕り方があっちから来たら逃げ場がない。」
『___へぇ意外と賢いねぇ。流石探偵社さんだ。ねぇ樋口ちゃん?』
「Aさん…何云って…」
『敦君、君も探偵社の一員になるのなら、こういう事も確り見抜かないと。』
Aは壁に背を預け、目を細め妖しく笑う。中島はそのAと樋口から察せられる違和感に冷や汗を垂らす。
樋口は下ろしていた髪を一つに纏め、携帯を取り出し、ある人物に電話をかける。
「その通りです。失礼とは存じますが嵌めさせて頂きました。私の目的は貴方がたです。
芥川先輩?予定通り捕らえました。これより処分します。」
「芥川……だって?」
谷崎はその名前に顔を歪める。樋口はただただ冷徹に躊躇いもなく銃を中島達に向けて構える。
この動きは当然一般人じゃない。谷崎達は樋口に上手く騙された。
「我が主の為___ここで死んで頂きます。」
告げられた死命宣告。樋口が銃を乱射し始める。
『敦君、伏せて!』
「Aさん…!?」
条件反射のように中島は伏せる。Aは中島の前に来て守るように屈む。
『…莫迦だなぁ樋口ちゃん。』
その声は音でかき消される。すると発砲音が消えた。思わず瞑ってしまった目を開け、中島は目の前の状況に目を見開いた。
「兄様……大丈…夫?」
「ナオミッ!!」
334人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時