其の拾 ページ13
Aは溜息をつきながら虎の攻撃をかわし、ショルダーホルスターから銃を取り出し、上から虎の胴体めがけて撃つ。
「手荒な真似はやめてほしいのだけど。」
『一々注文が多いですね。それよりこの虎、弾丸を跳ね返して効かないんですけど。」
「そりゃあ頑丈だねぇ。」
『自分が相手しないからって呑気に……』
感心するように頷く太宰にAは舌打ちをし、虎と距離をとる。太宰の方に興味を示せればいいのだがAの方しか虎は標的として見ていない。
『_____敦君の闇が深ければいいんだけど……』
そう呟くとAの周りに赤黒い文字の羅列が浮かぶ。
__________異能力【黒印】
すると虎の周りに黒い靄が現れる。その靄はAの手に吸い込まれるように集まり黒の鎖に変化する。
『あの人が居ないからあんまし良い感じの物は出ないけど…まあ今の状況じゃ適してるか。」
ジャラリと音を立たせながら鎖を自身の手に巻くAは虎に向けて口角で弧を描き、笑う。後にいる太宰は動かないままジッとAを見つめる。まるでAを見定めるように。
『さあ、何処からでもどうぞ。』
その笑顔が気に障ったのか雄叫びを上げて虎はAに襲いかかる。それを横に体を反らし、体制を低くして虎の片足に鎖を巻きつける。
虎は巻きつけられた足を上げて、鎖を外そうとする。その勢いに乗り、Aは飛躍する。そのままもう一つの鎖を胴体に巻きつけ、太宰の近くにある箱に降り立つ。
『この虎力強い、持ってかれる…』
「ご苦労様、Aちゃん。そのまま持ち堪えて。」
太宰は目の前にいる虎に手を伸ばす。虎の目はもう太宰を捉え、Aではなく太宰に標的を変えている。だが鎖によって動けず身じろぎをする。
「獣に食い殺される最期というのも中々悪くはないが。」
『太宰先輩、鎖解きますよー』
Aがそう告げると鎖が外れ、虎は一気に太宰を襲いかかる。太宰の包帯が巻かれている左手が虎の額に触れる。
___________君では私を殺せない
___________異能力【人間失格】
「私の能力は_____あらゆる他の能力を触れただけで無効化する。」
反異能者、異能殺しの太宰には虎、異能の攻撃は一切効かない。太宰が虎に触れたおかげで虎の体から元の中島に戻る。そのまま倒れる中島を受け止める太宰は暫し沈黙し、
「男と抱き合う趣味はない。」
慈悲など一切無しで太宰はするりと中島を避けた。勿論中島は倒れた。
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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時