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其の捌 ページ11

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空も暗い時刻、何処かの倉庫に積まれた箱の上にA、中島、太宰が少し離れた距離に座っていた。

太宰が読んでいる本の題名は完全自 殺。太宰の為にある本と読んで良いほどの悪趣味な本に中島は顔を顰める。Aは慣れているのかそれを見ても表情を変えずに金平糖を黙々と食べ続けている。



「……本当にここに現れるんですか?」


「本当だよ。心配いらない。虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても「武装探偵社」の一隅だ。」


「はは、凄いですね。自信のある人は。
僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って言われてて_____

こんな奴がどこぞで野垂れ死んだって。いや、いっそ喰われて死んだほうが_____」



膝に顔を埋める中島。そんな悲観的思考はどうやって生まれたのか。Aは息を吐き、中島に向けて云う。



『敦君が抱えるものは知らないけど、案外君が幸せになれないのは時間の問題で、自分の人生数年で幸せか不幸か決めない方が良いよ。』


「どういう意味ですか…?」


『さあ、直に判るんじゃない?』



目を細めて笑うAは月明かりに照らされて綺麗だった。中島は言葉の意味が解らず頸を傾けたままでいる。

太宰は二人の様子を黙ったまま見つめた後、窓から見える月を眺める。



「却説_____そろそろかな。」



太宰の言葉を合図にするように奥から物音が聞こえた。その音に中島はビクリと体を強張らせる。



「今……そこで物音が!」


「そうだね。」


「きっと奴ですよ太宰さん、Aさん!」


「風で何か落ちたんだろう。」


『虎だったらもっと凄い物音するから大丈夫。』



中島以外の二人は冷静だった。逆にそれが怖いと思えるほどに。中島はその物音を始め今更焦り始める。



「ひ、人食い虎だ。僕を喰いに来たんだ。」


「座りたまえよ敦君。虎はあんな処からは来ない。」


「ど、どうして判るんです!二人ともそんな冷静に居られるんですか…!」



中島の言葉に太宰は本を閉じ、Aは金平糖の入った袋を懐にしまう。二人の瞳は暗く冷たい。



「そもそも変なんだよ敦君。

経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ。」



慌てる中島の気も知らず太宰は淡々と告げる。



「太宰さん何、云って_____」



中島が月明かりに照らされそれと同時に何故か中島は黙る。ドクンドクンと胸が騒ぐ。

二人の言葉が中島を目覚めさせる。

其の玖→←其の漆



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もちこて(プロフ) - にのさん» 続編は下書き中だったのでパスワード認証にしていました。説明不足でスミマセン!全体公開にしたので読めると思います。お褒めの言葉有難うございます(^^) (2016年12月21日 10時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 初めまして!!いつも楽しく読ませていただいています。続編のパスワード認証なのですが、パスワードを教えていただけないでしょうか? 続きが気になります!! (2016年12月20日 23時) (レス) id: 46f96eed18 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - ももタ郎。さん» ありがとうございます!私が書く中也さんはいつもこうなってしまう(笑)更新頑張ります(^^) (2016年12月17日 11時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読みやすくてすごく面白かったです!中也さんがかなり苦労人( ´ ▽ ` )続き楽しみに更新待ってます(`・ω・´)応援してます! (2016年12月17日 8時) (レス) id: 25ccc3b433 (このIDを非表示/違反報告)
もちこて(プロフ) - もこさん» ありがとうございます!面白いと言われると嬉しいです。更新早く出来るよう頑張ります(^^) (2016年12月14日 21時) (レス) id: e2caf94fae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちこて | 作成日時:2016年8月8日 13時

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