やぁ、少年 ページ5
今日もロンドンの街は騒がしい
私は少年と約束した場所で鳩に餌をやりながら待っていた
『そういえば…時間言ってなかったなぁ』
そんなことを考えて餌を全て撒き終わるとベンチに背中を預けて空を見上げた
『ここの空は狭いなぁ』
パサっ…
『ん？』
私は徒然覆われた自分の視界に少し声をあげその原因が昨日少年に巻いたハンカチだと悟ると自然と口角が上がった
『やぁ、少年。女性を待たせるとは君も罪な男だね』
「時間聞いてない」
『それもそうだ』
覆われたハンカチを剥がすと隣にはすでに少年が腰掛けていた
『来てくれたんだね。嬉しいよ』
「……」
『ハンカチ洗濯してくれたのかい？』
「……」
簡単に水洗いだけしただろうハンカチをカバンにしまい目当ての物を出す
『はい』
「？」
『あげるよ。今の君に必要そうだ』
そういって目の前に昨日塗った薬の瓶を渡す
『昨日よりも傷が増えているのは気のせいかな？』
薬瓶を受け取った少年を見るとなかったはずの頬の傷
「……」
『少年は物静かだねぇ』
「なんで？」
『ん？何がだい？』
「なんで僕なんかに構う？何が目的？」
こっちを見ずに少年は言う
『そうだなぁ…目的かぁ…特にないよ』
「は？」
『ないよ』
心底私が何を言っているか分からないという顔をした少年に思わず声を出して笑ってしまう
その後にひどく睨まれるのだが
『ごめんごめん。私はただ君が気になるだけだよ。…君はこれからもっと大変なことになるだろう。その時に頼れる人間が欲しくなるその人間に私がなろうかな？と思ってね』
「なにを…」
『何を言ってるか分からないだろうね。でも君は必ず私に助けを求めるよ。その時は遠慮なく私の胸に飛び込んでおいで！』
バッと腕を広げた私を少年は年齢とはかけ離れた軽蔑の眼差しで見ている
『わぉ、そんな目も出来るのかい』
「変な人だ」
『ははは、よく言われるよ』
「僕は人を頼らない」
『……』
「人に頼るぐらいなら死んだ方がましだ」
『…寂しいことを言うなよ。少年。その年でそれを言うには早すぎる。大丈夫だ。君には眩い未来が待ってるさ』
暗く感情の読めない少年に私はまたカバンから目的のものを取り出す
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 348人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
兎凪(プロフ) - 更新頑張って〜❤️応援してます❤️ (2021年10月5日 15時) (
レス) @page49 id: b4c6408c6f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続き気になります。更新頑張って下さい。 (2020年11月22日 0時) (レス) id: 26f37e78f0 (このIDを非表示/違反報告)
たたた - お話とっても面白いです！！！けど名前変換がほぼ機能してません！！！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 6bf73bd8a0 (このIDを非表示/違反報告)
由利香(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってくださいね！ (2020年11月7日 12時) (レス) id: 4865437acd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅澪 | 作成日時：2020年11月2日 1時
