俺の国に来た観光客【d！】 (ページ1)

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プロローグページ1

『…あれ？田中さん今日来てなくない？』

同僚「あぁ……逃げたんでしょ、きっと。
はぁ…あの人の分の仕事が増えるわ……まだプレゼンの仕事が残ってるのに。」

俺はA。俺はブラック企業に勤めている。
上司から仕事は押し付けられ、家に帰れない日々。
休みなんかサービス残業のせいで０日だ。
給料も月給9万と、１ヶ月暮らせるかどうか分からない位のお金である。

カタカタと無機質な音が社内に響き渡る中、上司が暇そうに欠伸をする。いや暇なんだったら仕事でもしたらどうだろうか。

上司に出来たプレゼンの資料を見せると面倒くさそうに資料を見る(表紙だけ)上司。
直後、俺の頭に熱いコーヒーがかかる。色褪せたシャツに、茶色のシミが付いた。

上司「駄目だねぇAくん。君資料もマトモに作れないの？」

中身も見ていないのにどうしてそんな事を言うのか分からないが、こんなのは日常茶飯事だ、慣れてる。

『……すみません。』

現実逃避がしたい。どうして俺はこんな生活を送っているのだろうか。

─────────午前1時半。

漸く仕事がひと段落付いた。今日はもう帰ろう。

まだ明るい社内を静かに去る。
途中でコンビニに寄って、酒を2、3本買って、家賃3万弱のボロアパートに1週間ぶりに帰ってきた。

『……ただいま』

誰もいない部屋に自分の声が響いて、妙に虚しくなった。
一生懸命バイトをして買ったゲーミングPCも、今では埃を被っている。

スマホでつべを開き、「我々だ」と検索する。

『…あ、しょーてんが投稿されてる。』

暫く動画を見ていると、酔いが回ってきたのか、瞼が重くなる。

倒れるように横になると、壁の時計が3時を示していた。

『あーあ………俺の生きる意味って………何だったんだ…？』

──────それが、俺の最期の言葉だった。