8 ページ8
確かに敵組織の作戦を崩したとしても、
そのまま解決となる筈がない。
「其れはまた別の仕事なのだから、君は気にせずとも真っ白なままでいいのだよ。」
「……いえ、私は真っ白なんかじゃ無い」
Aちゃんは敵組織の情報を得たり
記憶や思想を塗り替えるまでが仕事だのに、
何をそんなに思い詰めているのだろうか。
………待て
Aちゃんは対象に触れている間だけ異能を発動すると云っていた。
塗り替える情報が多ければ多いほどに、
塗り替えが完了するまで対象へ触れていなければならないと云う事だ。
……長く触れている為の方法とすれば、真逆
「Aちゃん、対象に触れている間だけだと云ったね」
「うん、そうだけど」
「大体どのくらいの時間を要するんだい？」
「首領から敵組織のある程度の情報を貰ってだから、日付を変える程度の小さい者なら5秒もあればできるのだけど、作戦自体を塗り替えるものなら…疾くて30分程」
「……30分も対象に触れているには難しい気もするのだけれど、もしかして君は」
�爛�ラダを使っているのかい？�瓩覆鵑討海箸鮓斥佞砲禄侏茲困箸癲�
彼女の苦しそうな表情を見るに、その答えが明確に判ってしまった。
「……だから言ったじゃない、“真っ白なんかじゃ無い”って」
「千紘ちゃん…」
「……サクには言わないで。絶対に。」
彼女はマフィアの作戦のために、身を捧げていた。
きっと首領はそれを判っている上で彼女に仕事をさせていた。
……こんなにも優しく無垢な彼女の心を苦しめて。
腿の上で強く握りしめている拳に私の手を合わせると、
俯いていた頭をパッと上げ私を見た彼女の瞳は、
涙が今にも溢れそうになっていた。
「……君の身を投げてまで、する事じゃあない。君が苦しむ必要は無いのだよ。」
「けど、サクと私を拾ってくれた首領を裏切るなんてことは出来ないよ…」
「……私がきっと、君を此処から逃してみせる。だから、私に君を守らせてくれ給えよ」
私がそう云うと彼女は静かに涙を溢した。
大きな瞳から流れる涙を
不覚にも綺麗だと思ってしまった私は、
疾っくの疾うに彼女のことを好いてしまっていた。
其れ以降彼女は、私の直麾部隊となった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぬん | 作成日時：2023年10月1日 0時
