OVERFLOW 【文スト】 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:202 hit

6 ページ6

「じゃあ2人は一緒に住んでいるのかい？」

「ええ、私はサクと違って偶にしか呼ばれないから、家のことは私がしてるの」

「Aが作る咖喱は格別に美味い」

「サクの好みは辛すぎるから、すごく研究したの！」

「彼奴らもオヤジさんも、皆んな褒めてる。無論、料理だけじゃないがな。」

暫く3人でお酒を交わし、
Aちゃんもお酒が回っているからか、
私に対しとても親しく話してくれるようになっていた。

織田作のことを普段は〝サク〟と呼んでいること。

料理上手で子供好き。

兄妹とても仲がいいこと。

本人達は似ていないと言っているけれど、
矢張りどこか似ている2人。

この短時間が随分な時間だったと勘違いしてしまうほど、
彼女のことを知るに、とても充実した時間を過ごしていた。

「…あれ、つい今まで話してたのに、サク寝てる…？」

「本当だ、少し休ませてあげよう」

織田作は妹のことを褒めるだけ褒めて、
机に伏せるようにして眠っていた。

「最近、サクずっと出っ放しだったから疲れてるみたい」

「どうりで全然会わなかったわけだ、おかげで少し寂しかった。」

「…サクと“友人”でいてくれてありがとう、太宰さん。……サクには、幸せにいてほしいの…」

「…フフッ、織田作も同じ顔をして、君に幸せでいてほしいと言っていたよ。本当、似ているね君たち」

「“幸せ”か……そうね、私はサクの妹として生きることができて幸せ。こうして、太宰さんとも会えたしね？ふふっ」

Aちゃんはそう述べると、私を見て微笑んだ。

世の中にこんなに綺麗に笑う子がいたのかと、
柄にもなく私の心臓はドクンッと大きく跳ねた。