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「中也、Aちゃんを頼む」
「……いいのかよ」
「其奴は私に恨みがあるのだろう」
下半裸の男に馬乗りになり、
休む暇なく殴り続けていた中也の姿は中々に面白い絵図であったが、今は其れどころではない。
「先に車へ行っててくれ」
「太宰さん…ッ」
「なあに、大丈夫。すぐ戻るよ。中也と先に行っててくれ。」
そう云い彼女の頭を撫で、彼女が頷いたのを確認し、
中也は彼女を横抱きにして倉庫を後にした。
「さァ、お楽しみの時間だよ。私に用があったのだろう？…ほら、喋り給えよ……」
既に顔の原型がない程に殴られている為、喋りもできないのだろう。
男は私の問いに答えず、呻き声を出すだけだった。
「君は先日の密輸集団の死に損ないだね、本当に残念だよ。」
全員殺したと云っていた甘い部下にも、
復讐しようと易い考えをもった此の男にも。
寝転び私を見るなり怯えた表情をする男の頭に足を乗せ踏みつける。
「私の大切な人を傷つけたんだ、覚悟はいいね？」
「う゛ゥゥゥゥ…ッ…」
「彼女に何をした？…君が彼女に触れなかったのは正しい行動だ。記憶を塗り替えられてしまうからね。そして、私への復讐ができなくなってしまっては、意味が無いからね。」
カチャッ…
拳銃を男のこめかみに当てがうと、男は酷く震え上がった。
「……まだ殺しはしないよ？ゆっくり愉しもうじゃあないか」
そうだな、まずは…
「この醜い下半身は何？聞くまでもないか…彼女はとても魅力的だ。私が来るまで我慢出来ず自慰行為したのかな？」
…気色悪い男。
少しずつ苦しめて、苦しめて、
地獄を見せて殺してあげようと思ったけれど、やっぱりやめだ。
「……君はもう終いだ。」
パンッ…パンッ…パンッ…パンッ…パンッ…
右腕、左腕、左腿、右腿、そして額。
倉庫内に銃声の音が響き渡る。
「…私だけど、掃除屋を呼んでくれ。２番倉庫だ。」
部下へ電話を掛け、男の片付けを手配した。
「…随分と疾かったじゃねェか」
停めていた車へ向かうと、車に寄りかかる中也の姿を見つけた。
「１秒でも生かしとくのが惜しかったからね、彼女は？」
「後ろで寝てる。……手前も後ろに乗れよ」
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作者名：ぬん | 作成日時：2023年10月1日 0時
