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「今晩は、織田作。今日もいい夜だね」
「……太宰、今日も居たのか」
「此処にくれば、織田作……否、此処は敢えて“サク”もしくは“お兄様”と呼ばせてもらおうか」
「…なんだ、気持ちが悪い。何方でも呼ぶな。」
ここ数日、私は織田作に会うがために、
いつものバーに入り浸っている。
「連れないねえ、織田作」
「マスター、ウイスキーを。」
織田作はマスターへ頼むなり、いつもの様に隣へ腰掛けた。
「…で、太宰。ここ最近のお前と会う回数が、親密な恋人程の様な気がするのだが」
「ごめんね織田作、君とは恋人にはなれない。なぜなら私には想い人がいるのだよ。」
「またその話か…」
「私が恋人になりたいのは、君の妹。さあ、今日こそ許可をくれ給えよ。」
「しつこい男は嫌われるぞ」
「織田作が許可してくれたのなら、私は思う存分に彼女へアタックできるのだけど。」
私の大切な友人の、大切な妹なのだから、
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彼の許可は少したらずは取っておきたいものだ。
「…太宰は彼奴のどこにそんなに惚れてるんだ？」
「………判らない」
私がそう答えると、
口まで持っていったグラスを持つ手が止まり、
織田作の目が、私の目を捉えた。
「…困った事にね、私にも判らないのだよ。」
「…………そうか」
「言葉にできればラクなのだけどね。私も此れが初めて持つ感情なものでね、少し戸惑っているんだ。」
無邪気な笑顔だったり、あの時ふと流した涙。
一緒に過ごす空間の心地よさ。
手を離すとふわふわと何処かへ飛んでいきそうな彼女の存在。
その全てを私は、
「……守りたい。そうだね、一つ云えるとすれば、私は彼女を守りたいと思ったのだよ。」
「……彼奴は厄介な奴に、想われている様だな。」
「それ褒め言葉？」
「……太宰………彼奴には陽の当たる場所で、闇のない世界で、幸せに生きてほしい。」
……この言葉は織田作なりの牽制なのだろう。
マフィアとして生きている私たちの生きる道は闇。
この世に生きている限り、永遠に。
「………唯、�狠�かを守りたい�瓩箸いΥ蕎陲和膸�にすべきだな」
「……それはつまり、許可す…『ダメだ』……ちぇっ。」
兄の壁は、思っていた以上に高いようだ。
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作者名：ぬん | 作成日時：2023年10月1日 0時
