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(藤ヶ谷 side)









"変わったけど、変わらない"









それは.........どういう意味なんだろう




わからなくて首をかしげていると


ポツリ、ポツリとAが言葉を続ける。









「あのとき、.......怖かったの。」


藤「..........」


「忘れられた自分と向き合うのも

千夏さんを好きな裕太の傍にいることも

......辛くて、怖くて、逃げたの。」


藤「..........A、」


「裕太が混乱しないように、なんて言い訳。

自分がこれ以上傷つかない為だった....」









大きな何も飾りのない桜の木に触れて


その枝の先を見つめてるA。









つられるように、空を見上げれば




綺麗な月が暗闇を照らしていた。









.









.









「だから、

今日会ってやっぱり苦しかった。


当たり前だよね、向き合うことから逃げて

弱い自分のまま3年半過ごしてたんだもん


何も変わってなかった。」









"大切な思い出すら、手放そうとして"


 

そこまで言って俺に視線を向けた。









.









「でも、やっと泣けたの。」









後悔して、自分と向き合って




それでも変わらなかった想いは───────









.









「きっと、ずっと、裕太が好き。」









なんて、強くなったんだろう。









「裕太の記憶が戻らなくても、

私がいつかおばあちゃんになっても、


........裕太が他の誰かと結婚しても

私はこの想いを、なくすことなんてできない」









だから────────、って









その先に続くはずの言葉は




大きな背中によって、遮られた。

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作者名:そら | 作成日時:2016年7月28日 19時

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