・ ページ6
.
「?Aさんのことですか?」
「え?いやいや、私より前の彼女だってば」
いまいち話が通じてないような影山くんに呆れの意味を込めて顔を顰める。
彼は首を傾げながら「前の彼女?」と私の言葉をゆっくり復唱した。
「Aさんは俺の初めて付き合った人です」
そんな答えに対して「へー」と力ない声をあげる。
そっか、私が初めて付き合った人……
「は!?!?初めて!?!!?」
「うおっ」
凄い勢いで体ごと影山くんのほうを向けば、驚いたのかビクッと肩を揺らしていた。
「そうですけど」
「…え、あれ?そ、そうなの?本当に?」
「はい」
今までの会話をじわじわと思い返す。
なんとなく彼女いたことあるっぽい発言が多数見られたような気がしたのだが?その度に、へー影山くんでも恋愛するんだーとぼんやり思っていた気がしたのだが?
「…そうだ、手!繋いだことあるって前…」
「手…?」
「普通に繋ぐやつしかしたことなかったから恋人繋ぎは初めて、みたいな…」
「…ああ、…え、小せえ頃って家族と手繋いだりしないんですか?」
「へ?家族?」
ポカンと間抜けヅラをする私を見た影山くんはさらに不思議そうな顔をした。
なんだ、家族の話だったの?
勝手に勘違いした私がバカみたいだ。
「初めて本気で好きになったのがAさんです」
「……そっか」
「たぶんこの先もずっと、Aさんしか好きにならねえと思います」
ドクドクと早く脈打つのが全身で感じられる。
ちらりと影山くんを見れば、熱を帯びた視線で私の姿をしっかりと捉えていて。
「Aさんが俺のこと好きでもそうじゃなくても、俺はAさんといたいです」
バレー以外はなんでも不器用で、恋愛なんてきっと彼にとってはもってのほか。
それでもどこかの何かで私を好きになって、なにもわからないが故に直感のままに私に好意をまっすぐに伝えてくる影山くん。
自分を求めている人がこんなにも近くにいることを、毎日毎日ちょっとずつ、私に教えてくれる。
.
1626人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり(プロフ) - すっごい好きなお話しです!続き楽しみにしてます! (2023年3月14日 21時) (レス) @page47 id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました!1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい!って思えました!!!!! (2022年1月27日 2時) (レス) @page47 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
まじま。(プロフ) - このままここで続けて欲しいですうう、、。ほんとにこの作品すごく好きです応援してます!!!!! (2021年3月23日 11時) (レス) id: 605f4aa0b2 (このIDを非表示/違反報告)
のろ(プロフ) - あわわわわわー!オチが上手くいかない感じがすごい好きです。応援してますー!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: 0a1b5d200f (このIDを非表示/違反報告)
ik13ttm(プロフ) - わああああああああああああああついに!!正真正銘の両思いになりましたね!おめでとう!!!もうこの話好きすぎてまだ全然完結しないっていうお知らせめちゃくちゃ嬉しいです…(つД`)ノ (2021年3月16日 15時) (レス) id: a5a5b9bef4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月18日 0時