押せば成る【影山飛雄】【３】

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NO視点

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ユース合宿がおこなわれる会場にやっと到着した影山飛雄は、練習が始まるなりさっそく胸を躍らせていた。



「(……楽しい)」



やはりユース候補が集まるだけあって、周りにはスゲェ選手ばっかりだと言わんばかりのウキウキした表情である。

慣れで言えばもちろん烏野が圧倒的に上だが、より強い環境でプレーするのは新鮮で面白い。



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「今日はここまで、明日からもよろしくな」

「「「ありがとうございました！！！！」」」



1日目が終わり、各選手自主練を始めたり先に体を休めたりとそれぞれ。

一方影山も当然のようにひとしきり自主練をおこなった後、合宿中泊まる宿舎に戻った。



「あ、飛雄くん」

「！はい」



夏の合同合宿で顔見知っていた森然高校の、影山と同じく1年生の選手と夕飯を食べようと影山が食堂の席に着くと、不意に後ろから声をかけられる。

振り返るとそこにいたのは影山のよく見慣れた携帯を持った稲荷崎高校2年のセッター、宮侑だった。



「これ飛雄くんのちゃう？」

「あ…そうっす、アザス」

「せやろー、飛雄くんの部屋の前に落ちとったからそうかな思てん」



宮侑は笑顔ではい、とその携帯を影山に渡す。

いつ落としたのかは全く覚えておらず、特に探してたわけでもなかったけど、とりあえずといったように頭を下げながら受け取る影山。

そんな彼の姿を見ては突然ニヤニヤとした笑いを浮かべる宮侑は、何かひそひそ話でもするように影山に顔を近づけた。



「…なあ、俺見てしもたんやけどさ」

「はい」


「その待受画面の子って、彼女なん？」



自分が持つ携帯を指差す宮侑の姿に「ああ」と納得したように影山は言う。

そういえば合宿に行く前日、寂しくないようにとか言って俺の携帯の待受画面を菅原さんが勝手にAさんの写真に設定してたな。

影山はそんな少し前の記憶を思い出す。
勝手にされたけど変え方もよくわからず、まあAさんも見れるしいいかと思い彼はそのままにしていた。

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