6. 初コミュニケーション ページ6
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「なんや、お願いて試合観戦のことやったん?それなら私、いくよ!予定ある言うたんはそのことやねん」
予想外のその言葉に、つい胸が躍った。
しかもそんだけやない。俺が角名の途中に話に入ったことにより、今、彼女は俺を見て話しとる。いつも見とったあの笑顔が、俺に向いとる。
二重の喜びがぶわあっと押し寄せて、たぶんはたから見た俺はたくさんのお花にでも囲まれとったと思う
「ほっほんま?」
「うん!頑張ってな、宮くん!」
…え?
今、なんて?
「…ご、ごめんもう一回言うて」
「え?ああ…宮くん頑張ってなって言うてん!ちょっとー、2回も言わされると恥ずいやんかぁ」
1回で聞き取ってや!とあのニコニコ顔で言うてくる西川さん。一方の俺は、正気なんか保ってられへん。
もちろんちゃんと聞き取れとるし、2回目が聞きたくて聞き返したことなんか彼女は知らんと思う。
けど俺は知らんかったで!?
2回目は恥ずかしがるとかいうオプションもついとるって!!!
「……が、頑張る…」
「え、どしたん?」
「あーごめん、治限界そうだから戻るわ。じゃあ、来てくれる人はまた土曜日待ってるから」
一気に脱力してふらついてまう俺を角名が支える。
そしてそのまま引きずられて、西川さんたちからまあまあ離れた俺らの席に戻ってきた。
「治、しっかりして」
「…あかん角名…俺もう…」
「西川さんよく笑う子だなとは思ってたけど、結構ちゃんとフレンドリーな人なんだね。さすが関西人」
「狙っとんのか!?」
「狙わない狙わない」
西川さんを見て意外そうな顔をする角名に、脱力していた体を一気に起こす。
まあ確かに角名の言い分もわかる。
クラスメイトとはいえ、初めて喋った男にあんな顔してくれるなんて思わんかった。
そのうえちょっとしたツッコミ(?)までいれてきて、あんなんされたら全世界の男が虜になってまうやん。
とりあえず、今日はでかい一歩を踏み出したで。
角名、ありがとう。俺はこれからゆっくりと時間をかけて、西川さんと幸せに暮らす未来を脳内で築いていきます。
…なんて能天気に喜べるのも束の間。
このあとに地獄が待っとるとは、思いもよらんかった。
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作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月10日 14時