18. 恋に勝る戦なし ページ18
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「…お前いつまでおんねん」
辞書を貸すっちゅー目的は達成しとるはずやのに、
なんでか俺らの教室から出て行かへんアホ。
きつく睨む俺を楽しそうに見るツムは、「ん〜」と
気色悪い猫撫で声で返事をした。
「Aちゃんとお話しよかな〜って」
「えっ、わ、私と…!?」
そうほざきながら空いとった西川さんの隣の席に腰かけ、ふふふと軽く微笑みながら西川さんを見る。
おい。ドキッとしてんちゃうぞ西川さん。
こいつはすべてをわかった上でこういう行動を取っとる腹黒人間や。
「絶対あかんはよ帰れボケカス」
「それはあまりにもひどない?」
「すまん言いすぎたわゴミクズ」
「直ってへんやんけ」
何を言うても引き下がろうとせんツムに、イライラはどんどん上り詰めてくる。
思わず胸ぐらを掴んで何か言うてやろうと口を開きかけた瞬間、「待って!」と慌てたような声をかけられ、手を止めた。
「喧嘩はしたらあかん!」
「…………」
今の状況を説明するわ。
まず俺の左手はクソツムの胸ぐらを掴んどる。
でもまあさすがに手出すわけにはいかんから、その逆の右手はなんもしてへん。と、思うやろ?
ちゃうねん。
西川さんが、俺の右腕をぎゅっと両手で掴んで引き止めてきよんねん。
「………んなっ…!?」
「喧嘩は危ないからダメやで、宮くん」
「…い、一生しません…」
「よしよし」
途端にバクバクと早まっていく胸の鼓動。
ちょっと触られただけでこの反応。
…もう俺は、いったらあかんゾーンまできてもうたみたいや。
「とか言ってお前ら明日にはもう喧嘩してそうじゃない?」
「いや、たぶん今日の夜には俺殴られとるで」
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作者名:みずかわ | 作成日時:2021年1月10日 14時