12. 俺やなくて ページ12
▽
「お疲れ様です！今日もかっこよかったですうう…」
「ん、いっつもありがとうな〜」
…俺は今、何を見せられとるんや。
アイドルのファンミーティングか？そうなんか？
それにしても憎らしいアイドルやなあ、オタクの子のほうがえらいかわええし推せるわ。
「サムと仲ええん？」
「あっいや、試合観にけえへんかってこの前誘ってくれて！まあ私は侑くんのためにもとから行く予定やったんですけど！」
そっから話すようになったんよね！と俺に必殺スマイルをかましてくる西川さんのかわいさにやられてもうて、うまく返事ができひん。
百面相する俺を見てニヤリと楽しそうに口角を上げたツムが、「なあなあ」と西川さんに詰め寄る。
「名前なんて言うん？」
「えっ…に、西川Aです…！」
「Aちゃんか、ええ名前やん。覚えたで」
「ええええ！？認知！？！！？」
わかっとる。ツムはわざとやってんねん。
普段ファンサービスなんかせんし、やっても愛想笑い振り撒くくらいのツムがここまですることは滅多にない。おおかた『サムのお気に入りやからわざと仲良うしたろ』とか思ってんねん。ほんま性悪。人でなし。
「サムと同じクラスなんやな」
「はい！」
「ほなうちの片割れと仲良うしたってな〜、なかなか釣れへん奴やけど！」
ツムの適当な言い草に、イライラが頂点になる。
こいつおもろいもん見つけたみたいな顔しよって。
ほんでツムに腹立つんは当たり前のことやけど、
……なんで、
なんで、
「俺やなくてこいつやねん！！！！！」
△
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずかわ | 作成日時：2021年1月10日 14時
