押せば成る【影山飛雄】【２】

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影山「七海さん！チワス！！」

「うん」



男子部室に突然現れる神出鬼没マネージャー七海。

俺たちの話題の中心だったクッキーに興味を示しているらしく、影山の挨拶を適当にあしらっている。



「なにそれ？かわいい」

田中「Aさん聞いてくださいよ！影山の奴クラスの女子にクッキーなんてもの貰いやがりました！」

影山「？？？」



テンションいつもより2割り増しの田中が悔しそうに七海にそう伝えると、七海は意外そうな顔をしたあとすぐにクッキーから顔をそらす。



「………へえ」



え？それだけ？と思ったのは俺だけじゃないらしく、田中や西谷たちもポカンとしている。

どうせ俺たちと一緒に影山をからかうんだろうと思っていたのに。

七海はクッキーの袋から視線を影山に移し、そのまま無言でじーっと見つめ始めた。



影山「…な、なんすか…」

「…………」

影山「…？あ、あの、Aさん…」



あまりにも見られるものだから影山も顔を赤く染めて戸惑う。それでも目線は逸らさないのが影山らしい。

そして七海は口を尖らせて言う。



「…別に？クッキーなら私も作れるけどなあ、って思っただけ」



その言葉を聞いた瞬間、影山以外の全員の声が「え！？」とハモった。

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