押せば成る【影山飛雄】

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烏野高校３年、七海 A。




「オーライ！」

「ナイスレシーブ！！」

「レフトー！」




男子バレーボール部マネージャー。




「…なんか今日、影山くんノッてますね！」

「そうだね」




「日向ボゲェ！ナイスだクソが！！」

「褒めるか悪口かどっちかにしろよ！？」




今日私に話があるらしい後輩、影山飛雄くん

1年生、セッター。




(…話ってなんだろう)



部活に集中できないというほどではないが、やはり気になるものは気になる。

わざわざ呼び出してまで、というのもあるが、まず彼が私に話しかけてくることすら珍しいのだ。なんなら初めて。そして、「七海さん」と名前を覚えてくれていたことすら今日初めて知った。

それくらい、私と後輩の彼は普段のコミュニケーションがない。



「…突然だけどさ」

「はい！」

「やっちゃん、影山くんと話すことってある？」



練習風景を私と並んで見守る、最近入ってきた後輩のマネージャーにふと投げかけた質問。

彼女は影山飛雄くんと同じ1年生であり、きっと私よりはコミュニケーションを取っているはずだ。



「あ〜そうですね〜…日向とかに比べたら全然話さないですけど、部活のことだったらたまに！」

「…まあそんなもんよねー」

「はい…どうかしましたか？」

「ううん、ありがとう」



適切。彼と女の子の関係として、適切な答えだ。

きっとクラスの女子ともそんなに仲良くなるタイプではない。たとえマネージャーであろうとも、女子と仲良くしてる姿なんて想像もつかない。



仲が悪い、わけでは決してない。

部活のこと以外で、本当に関わることがないのだ。


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