押せば成る【影山飛雄】

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影山「…く、口開けてください」

「(ああ、なるほど…)」



てっきり私が自分の箸で掴み食べるのかと思っていたが、なるほど。食べさせようということか。

またまた誰がこんなこと吹き込んだのだろう。
やっぱ田中か。田中なのか。



「……うん、わかった。…あ」

影山「……！あー…」

「ん」



パク、と私に向けられた影山くんの唐揚げを一口で
まるごと口に包む。

もぐもぐと口を動かしながら「おいひい」なんて言っていると、妙に皆から見られていることに気づく。



「…なに？」

田中「あ、いや…」

旭「うーん…」

菅原「全くと言っていいほど照れないな…」

「照れ…？……ああ、」



もしかして、私を照れさせようとして？



「なるほどね。残念だね、こんなんで私は照れん」

西谷「作戦失敗か、龍！？」

田中「うーむ…失敗…なのか…」

「はは、私を照れさせるなんて100億光年早いよ、
ねー影山くん」



勝負に勝ったような気持ちでちょっと嬉しくてにこにこしながら横にいる影山くんに視線をやる。

するとなぜか俯いている影山くん。



「影山くん？」

「……すみません」

「え？」

「…ちょっと…いや、すみません…」



そう言ってゆっくり上がった影山くんの顔は、

ほんのり赤く染まっていて。


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