第四話 ページ6
雨がいっそう激しくなる。
創造を使用して傘を出現させたAは行く当てもなく、木陰に腰を下ろして雨があがるのを待っていた。
追いついていなかった感情が体中を駆け巡り、次から次へと涙が溢れる。
(このまま死んでしまうのだろうか…)
それでもいいな、と呟く。私にはもう生きる意味はない。死んだところで何も変わらない。
ふいにAの目の前に人が立った。
何だろう、と思ってAが顔をあげると、煙草を咥え、真っ黒な軍服を着た人物が声を掛けてきた。
？「お前…ずっとここにいるけど、何してんの？」
その暗く澱んだ眼に恐怖を覚える。恐らくこの国の軍人だろう。
？「おい、質問に答えろ。っ！泣いてんのか？」
その人は驚く。気味悪がられる目を見られたくなくて下を向く。
？「わりぃ。僕が泣かせたんだよな？」
途端に申し訳なさそうな表情になる。
『ち、違うの…』
？「うん。ゆっくりでいいよ。話してごらん」
Aはぽつり、ぽつりと今までのことを話した。
家族のこと、透明な目のこと、ー自分の能力のこと。
軍人さんはAの話をゆっくり聞いてくれた。
？「なあ、嬢ちゃん。行く当てがないんだろ？僕らのところに来ない？」
『えっ！？いい、の…？』
？「僕はスノー・プリュム。よろしく」
『Aです。よろしくお願いします。』
スノーはうなずき、「A、ついておいで」といって歩き出した。
いつの間にか雨はやみ、明るい陽射しが彼らを照らしていた。
sn「さ、着いたよ。僕らの基地だ。君は今から王様に会ってもらう」
彼女に手を引かれてついた先はΣ国城だった。
困惑するAにスノーは優しく笑った。
sn「大丈夫。王様は凄くいい人だ。王様、連れてまいりました」
王「その子が…ふむ」
王様はじっとAのことを見つめ、しばらくして口を開いた。
王「こりゃあたまげた。ペルソナリタの複数持ちに魔力が無限…！スノー、下手するとこの子はお主よりも強くなるかもしれぬ。少女よ、名を何という？」
『っ！Aです…』
王「はっはっは。緊張しておるの。この子は精鋭部隊じゃ。スノー、強くしてやってくれ」
sn「承知致しました。」
このあとスノーの教育を受けたAはミカ、ガク、リョウとも知り合い、とても強くなっていく。
絶望から救ってくれたスノー、
厳しくも優しいミカ、
笑顔で話を聞いてくれたガク、
よく慕ってくれたリョウー
いつか全て奪われてしまうとも知らずに。
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作者名：こっとん | 作成日時：2021年8月23日 16時
