償い少女の物語

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貴『は……は…ぁ……』


森の中、Aは木に手をかけながら少しずつ足を前に動かしていた。
地面に血を落としながら荒い呼吸を整えようと大きく息を吸う。それでも何も変わらない。


貴『チャクラを…使いすぎた……』


ポツリ…とそう言った言葉は木々の奥へ消えていった。
だが突然、Aは糸の切れた人形のように倒れこんだ。きちんとした受け身も取ることができずに倒れたAは彷徨う自然の中妙に冷静さを保っていた。


貴『(チャクラ切れにお腹の怪我…少し休まなきゃ……少しでも…マダラさんから離れないと…)』


子鹿のように震える手足は一刻も早く逃げなければというAの思いに答える方はなく、少しも動かない。
それはAの限界を示していた。


致命傷を避けていたとはいえ、腹にクナイが刺さり大量に出血している。

余ったチャクラで癒代を使い最低限の治療は行ったので血は止まっているが、血が足りないことに変わりはない。
逆に今まで歩けていた事が奇跡とも言えるだろう。



貴『(ぁ…やばぃ……)』


意識が遠のく。

だんだんと眠気がAに襲ってきた。ゆっくりと思い瞼が閉じていく。


貴『…………にぃさん…』


酷く弱々しい、様々な感情の入った声は、どちらの兄だった人に向けられたのか。

それはA自身も意識はしていなかったようで、誰にもわからない。

Aの視界が、元々ほとんど見えなかった全体的に黒っぽい緑と青色の景色が完全に真っ黒に染まった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Aが意識を失ってから数日後…ある荒野では命がけの戦が繰り広げられていた。

五国が同盟を結び結成された忍連合と、世界の全ての人間を幻術にはめる月の眼計画を実行しようとするものの戦争だ。


そして今現在。忍連合は戦争の相手である重要人物の二人……うちはマダラ、そしてそのマダラを装い戦争にまで事を進めて来たうちはオビトの圧倒的な力よって窮地に追い込まれていた。

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