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四十一話 ページ42

冨岡「鬼は何も写していない。」



貴「?」



この言葉足らずな文に、Aはまた首を傾げた。
本人はきちんと説明したつもりのようだが、たった一言…それで伝わるほどAの頭は回らない。

そんなAの様子に冨岡は何か問題が?と言うように首を傾げた後、言葉を付け足した。



冨岡「一般の鬼は、人を見れば衝動にかられ血肉をほっし、上位の鬼でも人を食い物としか思っていない。
だが、お前はそんな血走った鬼達の目とは違う。」



そこで冨岡は一呼吸止めた。

緊張しているわけでも、言葉が詰まったわけでも無い。


どことなく悲しみの表情を浮かべた冨岡がAの瞳に映り、一瞬で消えた。



そしてゆっくりと口を開く。



冨岡「お前の目は、人とよく似ている。」



貴「!」



冨岡は思ったことを告げただけなのだろうが、Aには衝撃的だった。

牢屋の中で手鏡一つ握りしめ、自身の目を見て何度胸を締め付けたか分かったものでは無い。


あの鋭い瞳孔に真っ赤な血のような目。



「まるで化け物のようだ」と何度思ったことか。

そんな目を、冨岡は人とよく似ていると言ってくれた。少しだけ認められたように思えて嬉しかった。



貴「…っ…………」



言葉が出ない。多分、今声出したら確実に震えているだろう。

正座する膝の上で拳を握り締める。


鋭い爪な掌に刺さって痛かったが、その時ばかりは強く強く拳を握っていた。



やがて、玄関方面から数人の騒がしい声が聞こえてきた。

皆が帰ってきたのだろう。




襖の奥から太陽の光が紙を通してAの座っているところの手前に当たる。

わざと光を浴びないようにされている事その光はもうすでに少しだけ赤みを帯びていた。


一日が過ぎるのがこんなに早く感じたのは久しぶりだろうか。



部屋に入ってきたみんなが向き合わせになってAを黙って見ていた冨岡と、俯いて拳を強く握っているAを見て「冨岡がAをいじめていた」と騒ぎ出したその空気にAは小さく口角を上げた。

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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時

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