いやいや待て、主人公成り代わりとか聞いてない［文スト］

五十四話 ページ8

ほんの少しの振動を感じながら、目的地へ向かう



それにしても今世は車酔いじゃなくて良かった



前世だと十分も保たなかったからな、僕



国「この運転手も情報屋の一人で、元は舞台役者だ」

『へぇー、貴方も何ですか』

「全然売れなくて、転職したんです」



転職で情報屋になるものなのか？



国「転職して正解だ

俺の知る限り、彼は誰よりもヨコハマの地理に詳しいし



今回の連続失踪事件でも

被害者の十一人の内二人を失踪直前に目撃している」

『それはそれは重要な証言者…凄いですねぇ』

「目撃したと云っても、港からホテルまで乗せただけですから」

『でも、本当に誘拐なんですかね？

身代金の要求も無いし、目的もあやふやですよ』



一体何が目的なのやら…



国「乗せた二人はこの人物で間違い無いか？」



国木田さんが写真を出す



「ええ、間違いありません

服装も同じです」



そこで、太宰さんが後ろから写真を奪い取る



『ちょ、太宰さん』

太「成る程…閃いた！

見て、この写真！二人とも眼鏡掛けてるじゃない？



つまりこれは、眼鏡連続失踪事件！

国木田君の出番だよ！」

『何を云ってんですか…』

国「被害者の中には眼鏡でない者も居た

共通点とは云えん」

太「な〜んだ、やぁ〜っと国木田君の出番だと思ったのにぃ〜」



またこの人は癪に障る云い方を…



国「聞き捨てならんなその台詞…！

俺は眼鏡以外で出番無しと云うことかぁ！？」

『はいはい国木田さん！

腹が立つのは分かりますけど落ち着いて下さい！

ブレーキでもしたら危ない…』




　




キキィーッ！



　



云った側から急ブレーキ



どこか打った音してたけど大丈夫かな、国木田さん



国「な、なんだ！？」

「着きました」

『！』



「御指定の廃病院です」



太「良いムードだねぇ



なんか出そう」

国「何がだ」



こんなので大丈夫なのかな

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