秘密の部屋-What Should I Do? (ページ26)

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ハリーはこれ以上の減点を避けたかったのか、苛立ちを隠さないまま行ってしまった。

『その......ありがとうございます』

ス「我輩は耳障りなポッターを黙らせたかったに過ぎない」

教授は無感動に言う。
全く、この人は骨の髄までも陰険教師だ。
でも、別に私の味方というわけでないのは分かっていても、本当に助かった。

『私、ちゃんと上手くやりますから......』

私は気づくとそんなことを口走っていた。

不安なのか。たった今、すぐそこからバジリスクが現れるかもしれないことが？それとも、改めてハリーに敵意を向けられたことが？

「何もしてくれと頼んだ覚えはないが」

スネイプ教授のその返事がありがたかった。私は一つ頷いて、その場を離れた。

談話室にも私の居場所はない。
私は一人で過ごしたくて、天文台の塔に向かった。
学校で一番高い塔であるこの場所には時計があって、そう、私の記憶では、アルバス・ダンブルドアが殺された場所でもある。

ホグワーツの周りが一望できる場所に腰掛けると、私は壁に背中を預けた。

もう夏はすぐそこだ。爽やかな風が吹き渡り、空は青い。湖も輝いていたし、草木は喜びに溢れている。
夕暮れ時とは言え、辺りはまだ明るかった。

ふと、トム・リドルの言葉が頭に浮かんできた。

「作るべくして作られた分霊箱は、他の分霊箱を傷つけることはできません」

どういう意味だろうか。
作るべくして作られた分霊箱、とはつまり、ハリーはそうではないということか。

けれど、私自身はきっと作られるべくして作られた。

つまり、私には分霊箱を傷つけることができない_______

その考えが頭に浮かぶと、ぞくりとした。

私はハリーのこれからの戦いに居合わせても、分霊箱を壊す手伝いすらできない？

私がトム・リドルに会いに行ったとしても、私は日記を壊してしまうことができないんだ。

ああ、じゃあ今回の件はハリーに任せよう。
私には何もできない。

それどころか、私の存在は大きなリスクだ。
私の持っている記憶が既に複製されているなら、私の存在価値なんてないじゃないか。

そこまで考えると、私の中に唐突に一つの衝動が生まれた。
明日、バジリスクがやってくるはずだ。

私は、そこで死のう。

一度そう決意してしまうと、なんだか楽になった気がした。