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ス「そして、ハリー・ポッターが生き残り、闇の帝王が倒れた日。私は帝王の拠点に戻り、記憶を回収して君を連れ帰った」
ス「お前は、しばらく私とダンブルドア校長の庇護下にいた。そしておよそ一年が経ち安全だと思われた頃、君は闇の帝王の所にいた頃の記憶を抜かれ、孤児院へと預けられたのだ」
スネイプ教授は語り終えた。私は驚きを隠せなかった。
ということは、私が血を分けられたというのは。
『.........ヴォルデモート卿?』
私が小さく呟いたとき、教授の姿は既になくなってしまっていた。
私の強い魔力も、天才的な学力も、ヴォルデモート卿の血によるものだと言うことだろうか。
校長と教授の私への執着も、今ではすっかり納得できる。
私は強力な武器にも、強大な敵にもなりうる諸刃の剣だったのだ。
私はヴォルデモート卿に近づいてはならない。
それは味方への大きな痛手となる。
私はこのとき心に誓った。
私にできることは、それくらいしかなかったのかもしれない。
ハリーと私は、パーティーが始まる少し前に医務室を出た。
他の生徒たちは既に大広間に集まっているようで、廊下はしんとしていた。
歩きながらハリーは静かに、淡々と私に言った。
「A、君はなんだかクィレルが死ぬことを知っていたような気がする。大事な時にいないことも多かったのに、決して慌てなかった。皆ほどスネイプを疑っていなかった」
ハ「クィレル先生がいなくなっても、ずっと傷が痛むんだ......考えてみると、決まって君がそばにいる時のような気がして」
私は追及するハリーの言葉を遮って言った。
『ごめんなさい、ハリー。今はまだ言えないの』
ハ「僕には君が分からない。君は僕の敵なのか?」
ハリーは私を睨んだ。その緑の目に見られると、何故だか身が竦んでしまう気がした。
私は目を逸らした。
『違うわ......』
そう言うと共に、私の瞳から涙が溢れ出した。
こんなところで泣くつもりじゃなかった。けれど、ハリーからの疑念は、私の心に深く突き刺さった。
ハリーは睨むのをやめて目を見開き、慌てたように言う。
ハ「ごめん、君を傷つける気はなかったんだ」
私は顔を上げないまま、小さく頷いた。
『いつか、全部話せると思うから......今は私を信じてくれないかな』
私は震える声で言った。
ハリーは返事をする代わりに、おずおずと手を伸ばして私の髪に触れた。そのまま優しく頭を撫でる。
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作者名:コーデリア | 作成日時:2021年12月18日 13時