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毎日の授業に追われて飛ぶように時間は過ぎ、ハロウィンの朝がやってきた。
美味しそうにベーコンを食べているハリーの横顔を見ながら、私は考えていた。
今日がご両親の命日だということ、ハリーは知らないのだろうか。
瞳を覗き込んでみるが、彼はどうやらクィディッチのことで頭がいっぱいらしかった。
ハリーはまだ両親の顔さえ知らないのだ、当たり前か。
私は前に向き直り、食事を続けた。
なんとなく、数日前のことを思い出す。
あの朝、いつものように郵便ふくろうの群れが大広間に飛んできた。
六羽ものオオコノハズクに加えられた包みは、一際皆の目を引いた。
私ももちろん例外ではなく、その包みがハリーの目の前に落とされるまでをじっと見つめていた。
破くように手紙を開けたハリーは、急いで読み終えるとすぐにそれを私たちに渡した。
その後ハリーとロンは、包みを抱えて興奮したように席を立っていってしまった。
それから、クィディッチの練習だのマルフォイとの対決だの、三頭犬に会っただのと色々な騒ぎがあったと聞いている。
私はハーマイオニーと顔を合わせるのが気まずく、あえて立ち会わなかったけれど。
私は、スプーンを運びながら口を開いた。
『今日は浮遊呪文をやるんだよね』
ハ「どうせハーマイオニーが一番乗りさ」
『どうかな』
私はくすくすと笑いを漏らした。
ハーマイオニーからご丁寧な指導を受けるロンの顔が、頭に浮かんだからだ。
ロ「僕、君には期待してるんだ。あいつの鼻を明かしてくれよ」
『そんなに見返したいなら、ロン、あなたが頑張れば?』
本を抱え、こちらに歩いてくるハーマイオニーをちらと見ながら私は言った。
ハーマイオニーもこちらを見ているみたいだ。
ロ「全く、君たち二人には敵わないよ」
そういいながらフォークを置いたロンは肩を竦め、急いだように大広間を出て行った。パンプキンパイを食べ終えたハリーもそれに続く。
私は、向かいの席に着いたハーマイオニーに軽く手を振った。
彼女は微笑み返してくれたけれど、それはどこかぎこちなく、裏にある感情が少し怖いような気さえした。
今日の授業は、少し荒れるかもしれないな。
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作者名:コーデリア | 作成日時:2021年12月18日 13時