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職員室を出るまでは、と涙を我慢した。
けれど、職員室を出れば私の大好きな人が待っていて泣き顔を晒すわけにはいかず、ぐっ、と堪えた。
手に持ってる手紙は、鞄の中にしまった。
「大丈夫か、?」
「大丈夫なわけないじゃん……くそぅ、泣くつもりなかったのに」
私たちは職員室から昇降口に向かった。
体育官シューズとスリッパも持って帰らなければ。体育館シューズを入れる袋は、持ってたがスリッパを入れる袋は忘れてた。二つを同じ袋に入れ、手に持った。
そらるさんはスリッパのまま、正門まででてくれた。
「親ってどこいる?」
「あー……近くの駐車場で待ってくれてる。荷物ありがと、あとは自分で持ってくわ」
このまま自分の気持ちも伝わらないまま、
出ていくってのもなんか悲しいな。
あぁでも……どうせ、言葉なんて返ってこないんでしょ
そらるさんから、私の荷物を受け取る。
重たすぎてやはりゔっ、と呻き声が漏れたがなんとか持つことはできた。
「……俺いまから、ひどいことするけど忘れろよ。目、瞑って」
「うっそ……最後に殴るとかないよね」
殴られると思って、ぎゅっと目を瞑っていた。
けれど、やってきたのは痛みではなく。口への違和感。恐る恐る目を開けると彼の顔がすぐそこにあった。綺麗な彼の顔が。
「……なに、」
「いやなんかついてたから」
頭がうまく回らない。
多分さっきのは紛れもないキス。
そらるさんの考えがわからない。
なんでそんなことしたのか。いやでも、勘違いかもしれない。
「ほら、行けよ。じゃ、またいつかな」
くるっ、と簡単に私は回らされ背中をとんと押された
「……そらるさん、時間あったら遊ぼうね」
彼と離れた。
なんとも言えない感情に惑わされながら、次の日を迎えた。私は、彼のいない学校に通う。
慣れない学校への登校のために、携帯を使っていた。
電車に乗って、新しい学校へ。
携帯のバイブ音がなり、通知画面を開いた。
あぁ……くそ、なんで今更。
涙が落ちた、彼のせいだ。
なんで今更そういうことしてくんだ、、
「お前のこと、好きだったよ」
鮮明に、彼の笑顔と彼の声で再生された。
ほんっと、酷いよ。どれだけ私を惑わせれば済むんだ
感情だけを、奪ってく、
- 𝑬𝑵𝑫 -
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しろもん* - すごく良い作品ばかりで、ひたすら感動していました。私は、最後のお話が好みです。でも、本当にどの作品も素晴らしかったです。 (2020年1月21日 23時) (レス) id: 36bbb34c6c (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - 涙がボロボロで止まらなかったです。描写もどのお話も素晴らしく、Bバージョンもとても楽しみです。 (2020年1月19日 0時) (レス) id: b204067585 (このIDを非表示/違反報告)
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