05 ページ8
-
月単位で学校を休んだので、諸連絡のために先生にしばらく拘束されることは予想していた。そんな時間を乗り越えて久しぶりのサッカー棟に足を踏み入れると、サロンにもミーティングルームにも誰もいなかった。
おそらくグラウンドだ。サッカー禁止令が出てたって、ここなら許されるはず。
「刹那ブースト!」
グラウンドの入り口の扉を開けると、そんな声と光が飛び込んできた。光は軌道を描き、意思を持ったかのようにゴールへと吸い込まれていったボールだった。聞こえた技名の如く、刹那の動きで。
ゴール前には三国さん、ハーフラインより手前には天城さん、霧野さん、狩屋がいた。呆気にとられたようにゴールに入ったボールを見つめていた。
間に立っていたのは、現代とはかけ離れた髪型をした人だった。ちょんまげだ。現代には見られないワイルドさが、その人から醸し出されていた。
ワイルドさんを囲んだ輪に近づいていくと、中心にいたのは神童さんだった。
「A？ Aじゃないか！」
輪の中心にいた人物が私に気付いて声をかけたため、一斉に視線が向けられた。A、A、と口々に名を呼ばれる。久しぶりに聞く声たちに、胸があたたかくなった。
この空間がなくなっていたかもしれないと思うと、背筋が震えた。
「ごぶさたしています。心配おかけして、ごめんなさい」
「久しぶりだな、A！」
「水鳥さん。おひさし......グエッ」
「こんの〜！ 心配したんだぞ」
「あ、ありが、ヴッ」
水鳥さん、首絞めてますよ！ 遠くで聞こえただれかの声により、私の肺に空気が戻った。
痞えはすぐに消えて、詰まりも残らない。風邪の時とはまるで違う。まったく不快感のない水鳥さんなりのコミュニケーション。この感じ、本当に久しぶりだ。
「悪かったなA、大丈夫か？」
「すぅはぁ、はい、気にしないでください」
「あ、そうだA。紹介したい仲間がいるんだ」
「仲間？」
天馬が手で相手を呼ぶ。私の目線も自然とその方向に寄せられた。呼び寄せられた男の子。同じ方向にいた女の子。四つの目と、順に視線がかち合う。
女の子の方は、瞳も髪も栗色で落ち着いた部類。男の子の方は、浅緑色の髪に浅葱色の瞳で目に留まりやすい。それとは関係なしに、二人とも目をひく雰囲気を出している。共通して柔らかな線で作られているまるい大きな瞳の中に宿されている光が、くるくるとうごめいていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
見卯＊..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (
レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……ﾌﾟｰｸｽｸｽ← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ！！ (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか！マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい！！！ (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：見卯＊..+* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/
作成日時：2022年7月19日 20時
