何も救えなかった私の話【名探偵コナン】 (ページ5)

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5人目ページ5

「丁度別の大きな案件と被って、私が萩原の事を知ったのは11月の終わり。」

「なっ……」

絶句する松田を無視して、私は言葉を続ける。

「何度も調べようとも思ったけど、その度に突き付けられる現実に情けない事に私は逃げた。」

そう私は逃げたんだ。向き合えなくて逃げた。
喚くだけ喚いて、何もしようとしなかったなんて…
最低だな。

「そうか…」

「ごめん。」

「謝る事じゃねぇよ。こっちも悪かったな、責める様に言って。悲しいと思ってんのは同じだよな…」

ポンポンと軽く頭を叩く松田。私の友人は一体どれだけ子供扱いすれば気がすむんだ。
ムカっとする時もあるけど、本当は心地良い。感じる温もりが安心感を与えてくれる。

「私なりに調べてみるよ。なんか松田に会って吹っ切れた。犯人絶対追い込んで捕まえてやる。」

「おいおい、追い込むだけにしろよ？捕まえるのは俺だ。彼奴と約束したからな。」

「良かったね、松田に愛されてるよ萩原。」

ちょっとふざけて萩原に向けて言ってみた。私達の会話を聞いてるって信じて。

「愛してねぇよ、バカ。親友ってだけだ。」

「ふーんそう。」

男女の愛してるって訳じゃなくて、友人として充分愛してると思うけどな…
友愛ってやつ。

「納得してねぇのはこの頭か？」

なんて言って私の頭を鷲掴みにする松田。
さっきの優しさは一体どこに行ったんだ！？と思いつつも、やっぱりこういうの学生に戻ったみたいで楽しい。

久しぶりの感覚に、幸せを感じていた。