何も救えなかった私の話【名探偵コナン】 (ページ35)

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2周目願14 ページ35

連れて行かれた場所は仮眠室だった。
私は今、相当酷い顔をしているだろう。確かに寝不足ではあるが、それ以上に彼と同じ空間にいるという事が1番の理由だろう。

だって、どんな顔して会えばいい？
会って顔を合わせる資格も勇気も、私にはなかった。萩原も諸伏も松田も、私の浅はかさが彼らを奪った様なものだ。

そんなつもりじゃなかったなんて、通用しない。失われれば戻らない。私が戻ったのは特異だ。異常な事なのだ。そんな私がいるから、松田はきっと決意するより前に息絶えてしまった。

そう思えてならない。

全部に関わっておきながら1人も救えず、口先ばかり助けるだとか救うだとか、身の丈に合わない不相応な言葉ばかり吐き出して…

守る事すら出来ないくせに、救う事など当然不可能だったのだ。

だから…

「…大丈夫、なわけないよな。」

こんな心配そうな顔なんか、向けないでよ。

「あの日は、悪かった。」

謝罪なんていらない。謝るのはこっちの方で、零は何も悪くないのに…

「零の言った通りだよ、私は仲間を見捨てた。」

「違う、見捨てた訳じゃなかった。Aが見捨てる筈なかったんだ。俺が、後先考えずにいたから……悪かった。」

ああ、きっと気が付いてしまったのだ。もしかしたらあの時、1度目の今日と似た様な日も零は気が付いていたのかも知れない。
暫しの沈黙ののち口を開いたのは、私じゃなくて零だった。

「俺は居なくならない。」

その言葉は、覚えている。

「だからAも、居なくならないでくれ。」

私は息を鋭く吸い込んだ。
守れなかった約束。あの時感じたものを私は忘れてしまっていた。感じるのは、罪悪感だけだった。守れる自信がない。

それでも、零がそう望むのならもう一度…

肯定の意を返すと、零は泣きそうな顔で微笑んでいた。