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「酷い顔だな……大丈夫、なわけないよな…」

仮眠室に入った瞬間聞こえてきたその声は、私が今1番会いたくて、1番会いたくなかった人。

降谷零の声だった。

「零も酷い顔してるよ。」

彼の顔色は悪い。目の下にはうっすらとではあるが、隈が浮かんでいる。

いつもは鮮やかな金髪が心なしかくすんで見えるのは、私の目にフィルターでもかかってしまったからか…
きっと私の心の問題なんだろうな…

「あれから仕事に没頭してるらしいな。気持ちは、わからなくないが、無理するな。」

優しい色を灯して彼は私に言った。きっと彼にだって思う所はあるだろうに、気を遣わせてしまっているのがなんだか申し訳ない。

「それは零も同じでしょう?それに……休むとどうしても松田の事思い出しちゃって…」

睡眠を取ると多くの人は夢を見るだろう。私の場合ここ最近見る夢は全て悪夢だ。

正確には諸伏の事があってからか…
中でもあの爆発があった日の夜は酷かった。

爆発の瞬間、引き金が引かれる音…
萩原も松田も諸伏も消えてしまう夢。

私は目の前で一歩も動けないまま、彼らが命を散らすのをただ見ている。

やめてくれと叫びたいのに声は出ない。

ふと場面が切り替わり、私の前で伊達と零が笑っている。しかし、それは一瞬で赤に染まる。

2人は崩れ落ち、その瞬間目が覚める。
冷や汗が止まらなかった。

凄く長い時間その場所にいた気がするのに、実際は20分くらいしか経過していないのだ。

流石に気が滅入る。


でも、これ以上心配をかける訳にもいかないか…
大人しく無理にでも寝るとしよう。

「悪い、俺はそろそろ戻るよ。しっかり休んでくれ。」

肯定の返事を返して零を見送る。チラリと見えた表情はどこか歪んでいた。

悲しみや後悔が見えた気がした。

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作者名:89* | 作成日時:2018年9月24日 17時

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