2人目 ページ2
私はちょっと変わった両親の元に生まれた。
変わってるといっても悪い意味ではない。
理想そのもののような、仲のいい幸せな家族。
そこには何の歪みもなくて、何の不満も生まれないような居心地の良い所だった。
何の変哲も無い日常に変化が訪れたのは、私が幼稚園に通い始めた頃だったと思う。
綺麗な青を見つけて、気が付けば声をかけていた。
人を寄せ付けないような、寄り付かないような空気を纏った彼が、ゆっくりと顔を上げて無愛想にだれ？と問いかけたのを今でもはっきりと覚えている。
私の世界はいつもそこから始まるのだ。
たった1回だけ例外があったが、それは私が逃げ出した事が原因だ。
それについては後に話すとして、まずは全ての始まりである1度目の世界について話そうか。
細かい所に違いはあれど、私はもう1人の"私"とほぼ同時期に彼らと出会った。
幼稚園で零に惹かれて、小学校で松田と笑って、中学校で萩原に好かれて、高校で諸伏と語らって、警察学校で伊達と稽古しあって…
だんだん適当になってる？
全部詳しく語ってもいいけど、とっても長くなってしまいそうだから、出逢いは彼女と同じと思ってくれても構わない。
実際、対して変わらないから。
変わるのは私と彼女の力の差だけ。
私は彼女に比べて圧倒的に弱かった。
彼女が所属したのは警察庁警備局警備企画課、通称ゼロと呼ばれる公安警察トップ。
私は警視庁公安部、此処だって優秀な人間が殆どだ。
誇っていない訳ではない。
けど、ちょっと悔しい。
何度繰り返しても私はそこには立てなかった。
枷がついたかのように、ある一定の能力値以上はどんなに頑張っても伸びない。
強い憤りを感じた。
私は無力だった。
……話が逸れてしまった。
改めて最初の世界の話をしようか。
私が大切な友人を1人失ったと知ったあの日から…
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作者名：89* | 作成日時：2018年9月24日 17時
