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第165錠 ページ30

突然声をかけられびっくりして、顔を上げた


A『っ!え…』



















昴『どうかされたんですか、Aさん』


何でここに、沖矢さんが

あまりに突然だったから、私はポカンとしてしまった


昴『Aさんですよね、どうかされたんですかこんな所で』


A『…』


昴『…っ!』


A『…ぁえっと…っ』


頬に涙が流れてるのが分かり、思わず顔を隠した

いきなり泣くなんて、沖矢さんも驚いてるはずだ

しかし沖矢さんは何も聞かず、私をベンチから立たせた


昴『あまり長居すると風邪を引きますよ、帰りはどうされるんですか?』


A『…っタクシー拾いますよ』


昴『そんな顔で歩いたら、人目をひきますよ』


そんな顔、かぁ

確かに今は自分でも思うぐらい醜い顔だと分かる


車で送って行くと沖矢さんは言ってくれて、私は頷いた

沖矢さんは自分が着ていたジャケットを私にかけてくれ、私の歩幅に合わせてくれてる


さっきまで1人だったのに、今沖矢さんがいることがすごく安心する

何も話さないまま沖矢さんの車に乗せてもらい、静かな夜の街を走っていく


_










_









_


〈沖矢side〉


買い物をしていると、そこに見覚えのある女性がいた


Aさんだ

顔を下げているため表情は分からないが、何処か暗く、寂しそうなものを纏っていた


昴『どうかされたんですか、Aさん』


声をかけると恐る恐る顔を上げたAさん

するとAさんの頬から涙が落ちた

びっくりしたが、Aさんは顔を隠し涙を止めようとしていた


彼女もここで目立ちたくないだろう

そう思いAさんの手を引き立たせた


昴『あまり長居すると風邪を引きますよ、帰りはどうされるんですか?』


A『…っタクシー拾いますよ』


目を擦りながら言うAさん

何を言うかと思えば、そんな泣き顔で歩いていたら街行く人に注目されるだろう


昴『そんな顔で歩いたら、人目をひきますよ』


車で送ると言うと、黙って頷く

薄着だったため自分が着ているジャケットをかけてあげるも、彼女は黙ったまま


こんな暗い彼女ははじめて見る


この前のライブの時や普通に話していた時とは違く

小さい少女が泣くのを我慢しているように思えた


一体彼女に何があったんだ

彼女を車に乗せて、静かな夜の街を走らせた








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作者名:リイナ | 作成日時:2021年11月2日 12時

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