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第94錠 ページ4

少しの沈黙の後、最初に言葉を発したのは沖矢さんだった


昴『自分の弱さがその大切な人であれば

強くなるために、後悔や罪悪感は忘れることは出来るでしょう』


A『…』


昴『…ですが』


信号で止まり、私は沖矢さんの横顔を見た

それは少しだけ悲しそうに見えた


昴『100%忘れることは出来ませんね、その人は私にとって大切な人なので』


A『…好きなんですね、その人のこと』


昴『えぇ、もっとも、その女性は自分のせいで死なせてしまいましたが』


A『っ!ぇ…』


再び車が動き出し、沖矢さんの顔色はいつもの感じに戻った気がする

女性ってことは彼女とかだったのかな


A『どんな人だったんですか?』


昴『いつも平然を装って影で泣く女性でしたよ

今の貴方によく似てます』


A『っどう意味ですか』


昴『そのままの意味ですよ、今もまた泣いてますよ』


A『ぇ…』


嘘と思ったけど、頬に冷たいものがつたう感覚があった

涙を拭こうと思ったけどもういいやと思い、私は顔を窓の方へ向けた


でもこんなにも考え方が違うんだ


昴『Aさんは、忘れられますか』


A『…出来ないです』


そうだ、出来るわけがない

だって全てだったから、あのぬくもりも優しさも


あの大好きな後ろ姿
 

手を伸ばしても届かないのはもう分かってる

安室さんも突然いなくなっちゃうのかな


みんな、大切な人は私の前から突然いなくなっちゃう


そう思うと、どんどん涙が溢れて止まることがない


A『私も、兄と過ごした時間を忘れることなんて出来ないです…っ

でも忘れないと、いつまでも強くなれなくてっ』


昴『…すぐに強くなる必要はないと思いますよ』


A『えっ…』


昴『忘れる必要もないですよ、それだけお兄さんは大切な人だったんです

それにどんな形であろうと

あなたが強くなった時一番誇りに思うのはお兄さんでしょ』


どうして、あの時の安室さんと同じことを言うの

どうして今、安室さんの顔が浮かんだんだろう


なんだかお兄ちゃんより、今は安室さんのことばかり考えてしまう


そう思うとまた涙が溢れてしまう


たくさん泣いて、泣き疲れてか私はいつの間にか寝てしまっていた


_









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___









ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

A『ん…ぇ?』







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リイナ(プロフ) - 睦月 蓮さん» コメントありがとうございます!LiSA大好きでライブも行きます笑! (2021年11月2日 11時) (レス) id: 6035cdbe01 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 蓮(プロフ) - 初めまして!いつもどうなるんだろうってドキドキしながら読んでます。LiSAさん好きなんですね!私も大好きです! (2021年10月16日 12時) (レス) id: 170d46157d (このIDを非表示/違反報告)
リイナ(プロフ) - みぞれさん» コメントありがとうございます!あたたかいお言葉嬉しいです(´-_-。`)これからも頑張らせていただきます! (2021年10月5日 20時) (レス) id: 6035cdbe01 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ(プロフ) - とても面白くてついつい一気に読んじゃいました!更新頑張ってください!これから楽しみにさせて頂きます! (2021年9月27日 20時) (レス) @page6 id: 976162990d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リイナ | 作成日時:2021年9月26日 15時

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