短・中 編２

放っておけない３（志摩） ページ5

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いつも頼りになる先輩の背中が寂しく震えているようにも見えて、Aが何も言えずにいると突然志摩は背を向けたまま立ち上がる






「お前まで居なくなったら俺は耐えられない」



『･･････志摩さん、、』




“お前まで”という言葉の意味はAには十分すぎる程に理解できた





志摩にとって生涯忘れる事の出来ない人は



Aにとっても大切な仲の良かった同期でもある








『私は、まだ香坂の所へは行きません』





「･･･当たり前だ。行かれてたまるか」






少し呆れたように返した志摩に、Aは長年溜めていた思いを告げる









『････志摩さん、



私に香坂を重ねるのは止めてください』








Aの言葉に、一瞬動きを止めた志摩の眉間には皺が刻まれていた






「････どういう意味だ」





犯人を目の前にしているのかと言わんばかりに怖い顔をした志摩を見て、Aは一瞬怯みそうになりながらも冷静に口を開く





『志摩さんは、また後輩を失う事を恐れる余り私に過干渉になっていますよね。』









Aの言葉に志摩は困った表情をした後、一瞬足元に視線を移して歩み寄る









「俺は、お前と香坂を重ねた事は一度も無い。




当然、もう誰も失いたくないとは思ってる。




だけど、どうしてもお前の･･･Aの事は人一倍気にしてしまう。




誰だって好きな奴の心配はするだろ」









・









・








『･････すっ･･･？』





目の前で表情を崩す事なく真顔の志摩の言葉を、脳内で処理し切れないAを他所に志摩は続ける





「危なっかしいお前が心配でたまんねぇんだよ。



だからあんま無茶しないでくれ、頼む。俺の心臓がいくつあっても足りない。」







『えっと、、ハイ････善処します･･･』





「そうしてくれ。」







爆弾発言を残したまま、フッと安心したように笑いAの頭にポンッと手を置いて通り過ぎようとした志摩は








「当番明けに返事聞かせろよ」







と耳元で囁いて屋上を後にした









『･････何これ、、、






どうすりゃいいのよ香坂』









唖然と立ち尽くしたAが


仲の良い同期へ口癖のように言っていた言葉を空に投げかけると




“正直に言えばいいんだよ、お前はお前だろ”と



アイツがあの頃と同じ笑顔で言った気がした








-END-

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